【SFL第6節までの結果振り返り&展開予想】ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2024が折り返し

【SFL第6節までの結果振り返り&展開予想】ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2024が折り返し

8月から始まったSFLも2ヶ月が経過し、DivisionS、DivisionFともに第6節まで終了しています。残り4節となり、ここまでの結果を振り返ってみたいと思います。

各チームの順位

チームの順位としては、DivisionSは以下の通りです。

トップの忍ism Gaming(忍ism)が160ポイントのトップで、Good 8 Squad(G8S)が10ポイント差の150ポイントで2位、Saishunkan Sol 熊本(SS熊本)がさらに2位と5ポイント差の145ポイントとなっています。4位は115ポイントの名古屋NTPOJA(NTPOJA)、5位は105ポイントのFUKUSHIMA IBUSHIGIN(IBSG)、6位は65ポイントのDetonatioN FocusMe(DFM)。プレイオフ進出の3チームと下位3チームのふたつに分かれた感はありますが、まだ巻き返しの効くポイント圏内と言えます。DFMは現状、かなり厳しめではありますが、とりあえずプレイオフに進める3位以内を狙うのであれば、十分に可能性はあります。

上位3チーム、下位3チームと言った様相。ただ、プレイオフ進出はどのチームもチャンスがある

DivisionFは以下の通りです。

トップを走るのは165ポイントを獲得したYogibo REJECT(RC)です。2位は広島 TEAM iXA(iXA)で145ポイント。3位は135ポイントのCAG OSAKA(CAG)です。4位は130ポイントのCrazy Raccoon(CR)で、5位は125ポイントのVARREL(VR)。6位は50ポイントのBelc FAV gaming(FAV)です。1位は少し抜けた感はありますが、それでも5位のVARRELとは40ポイント差と、1試合で追いつけるポイント差しかなく、混戦模様と言えます。FAVはかなり厳しい状況。3位を狙うにしても団子状態では3チームを落とさなければ這い上がれないので、自分たちが勝利し続けることはもちろん、ほかのチームの展開が追い風になってくれないとプレイオフも厳しいと言えます。

5強1弱の構造に。FAVは残り4試合ですべて40ポイントとっても、3~5位チームが平均20ポイント獲得してしまうとプレイオフ進出はできない厳しい状況

さて、それぞれのDivisionを振り返り、今後の展開を予想していきたいと思います。

DivisionSの振り返り&展開予想

まずはDivisionS。

忍ismを牽引するのはリーダーももち選手。7戦5勝の好成績のうえ、大将での出番が多く、チーム総得点の半分となる80ポイントを稼いでいます。初戦のG8S戦では痛恨のポイント0を喫してしまいますが、折り返し後のG8Sとの再戦では40ポイントを取り返し、しっかりとリベンジをしています。ヤマグチ選手、藤村選手も5戦3勝と好調をキープし、ももち選手を支えています。ジョニィ選手は未勝利ですが、出場した2戦の動きは悪くなく、初勝利も近いのではないでしょうか。

G8Sはガチくん選手、カワノ選手、ぷげら選手が揃って3勝をあげ、助っ人のYHC-餅選手も2勝をあげています。全員がコンスタントにポイントを稼げているのはさすがの安定感と言えます。ただ、逆に言えば絶対的エースが不在とも言えます。これまでEDキラーとして活躍していたYHC-餅選手も逆に対策されてきているうえ、ラシードは相性の悪いキャラクターも居るのでアウェイで大将に出しにくさもあります。ぷげら選手は無敗ではありますが、出場が3回と少ないのが気になります。ぷげら選手の出番が増えたうえで、勝率を落とすことがなければ、より安定感が増すとみられます。

SS熊本はひぐち選手が5戦5勝と負けなしで70ポイントを稼ぐ活躍をみせています。まさにエースと言える活躍です。ふ~ど選手も勝率5割を超える活躍を見せています。ネモ選手とウメハラ選手は勝ち数よりも出場機会が少ないのが少し気になります。このふたりの出番が増え、どちらも大将で行けることを示せれば、相手はオーダーに苦慮すること間違いなので、後半戦で出番が増えるかがカギと言えるでしょう。

NTPOJAは思った以上に苦戦している印象。とくに新加入のもっちー選手は、SFLの雰囲気に飲まれたか精彩を欠いています。唯一勝率5割を超えている立川選手も出場機会が多いとは言えず、チームを牽引するまでに至っていません。EWCなど世界大会で結果を残しているので、SFLでも力を発揮して欲しいところです。

IBSGはエース翔選手の活躍で序盤から魅せる戦いをしていますが、大きく勝利することができずに終わっています。特に翔選手は9戦4勝と出場数はエースとして及第点ですが、勝ち星がついてきていない印象。延長戦に出場することが多く、1先の難しさからの勝率となっていますが、ワールドウォーリアーなどのような力は出し切れていない印象です。エースとしてリーダーとしてチームを牽引するために率先して出場するその意気や良しと言ったところですが、逆に言えば、ほかのメンバーに任せ切れていないという状況でもあります。cosa選手は4戦3勝と高い勝率を誇りますが、翔選手とは逆に出場数が少し少なく感じます。ヤナイ選手はベガ、ササモ選手はEDと、SFLで数多くのプレイヤーが使用しているキャラクターを使用していますが、残念ながら、同じキャラクターを使うほかの選手を圧倒するような強さも戦い方も見せられていないのが現状です。翔選手がほかの選手に任せられる状況を作り出すのが上位を目指すきっかけと言えそうです。

DFMはまちゃぼー選手がひとり気を吐いていますが、それでもチームを引き上げられるほどの成績は残せていない状況です。ナウマン選手や板橋ザンギエフ選手も試合内容的には悪くないので、どこかのタイミングで勝ちだす可能性はあります。板橋ザンギエフ選手のザンギエフと竹内ジョン選手のラシードは、相性の悪い相手がおり、その点を解消できるかが浮上のカギでしょう。板橋ザンギエフ選手はアメリカで開催された「CPT2024 East Coast Throwdown」で優勝し、竹内ジョン選手とナウマン選手もシンガポールで開催された「CPT2024 Suprt Premier Singapore」で9位入賞を果たすなど、各選手の調子は悪くなさそうなので、復活の気配は十分にあります。昨年、驚異の追い上げで足切りを逃れ、プレイオフ参加も決めているだけに、後半戦のDFMは侮れない存在でしょう。ただ、残り試合は、アウェイの数が多く、苦手キャラを被される立場にあるので、そこは厳しいと言えます。

順位の推移。上り調子の忍ismと上位安定のG8S。3~5位は1節ごとに入れ替わる可能性がある

DivisionFの振り返り&展開予想

次にDivisionFです。

RCはなんと言ってもLeShar選手の存在。DivisionSではED使いが5人もいますが、DivisionFではLeShar選手ひとりのみ。LeShar選手のフィジカルの高さと他チームがED対策に時間を割けにくい状況がこの結果を残しているのではないでしょうか。6戦5勝と高い勝率を誇り、それでいて大将戦を任されることが多く、まさにエースと言う風格です。出番の少なかったあきら選手も大将戦で2勝するなどポイント的には十分に活躍しています。ときど選手の安定感と存在自体が相手にプレッシャーとなる鶏めしダルシムの布陣は後半戦も大きく崩れることはなさそうです。

iXAはエースひかる選手が無類の活躍を見せています。ピーキーなレアキャラな上、唯一無二の戦い方でアウェイでの被せも撥ね除ける力があります。ひびき選手のリリィ、ACQUA選手のブランカ、JPとほかの選手もレアキャラが多く対策しにくさが、そのまま結果に繋がっていると言えます。また、じゃじゃぃ選手の豪鬼が大崩れしないストッパーとして今後活躍が見込めます。

打って変わって3位のCAGはポイント的に絶対的エースはおらず、チーム力で勝っている印象です。その中でもGO1選手の春麗はGO1選手の人間性能の高さからSAゲージが溜まれば弾が撃てなくなると言うほどの独自性があり、勝敗以上に相手にプレッシャーを与えます。有利ならイケイケ、不利でも逆択で反撃する攻撃的なうりょジェイミーや独特な戦いで相手を翻弄するフェン様ことフェンリっち選手のブランカ、ぶっ放しのイメージが強いが、いまのところセオリー通りの戦い方をみせるえいた選手など、どの選手もオーダーに入れられるポテンシャルがあります。大きくポイントを獲得できないながらも、大きく負けない強みでプレイオフに進出を狙えそうです。

CRは後半に向けて尻上がりに調子を上げている印象です。勝ち頭のボンちゃん選手は3連敗のあと4連勝と上り調子。昨年の活躍の片鱗を見せ始めています。どぐら選手は『SFV』でメインキャラだったベガとのシンクロ率が上がってきており、かずのこ選手も安定した力を見せています。これまで結果が出ていなかったShuto選手ですがシンガポールで行われたCPTで優勝しており、豪鬼に自信がついてきたのではないでしょうか。自信がついたShuto選手は無類の強さを発揮するので、今後に注目です。

VRはマゴ選手が絶好調。さすがセプテンバーマゴの異名は伊達ではありません。水派選手も安定しており、ようやく4戦目にして勝利したもけ選手も自力があるだけに今後盛り返してくるでしょう。だいこく選手はSFL初参戦ながら大将を任せられるほどの信頼を得ています。負けた場合も惜敗が多く、大崩れしない安心感が見て取れます。第6節では上位チームに40ポイント獲得し、順位は下位ながらポイント差を一気に縮めているので、プレイオフ進出は十分狙えます。

FAVはかなり厳しい状態。ようやくts選手が勝利し始めましたが、ほかの3人が勝てていない状態。とくにりゅうきち選手は7戦0勝とまだ未勝利。しかも、大将戦に多く出ているので、失うポイントも大きくなっています。りゅうきち選手はまったく歯が立たないと言う印象はなく、勝てそうな試合も何試合かありましたが、勝ちきれない状態です。チームとしてはケン、豪鬼、豪鬼、ベガと言う布陣が相手にとって対策がしやすく、バランスが良くないと言えます。調整でJPの強さが復活したこともあり、りゅうせい選手のJP、そしてsako選手が豪鬼以外の練習もしているとの話もあり、布陣を変えることで逆転を狙ってくる可能性があります。現状の使用キャラの練度を上げて勝つと言うのは少し難しそうです。

SFLは本来ホーム側が有利となるレギュレーションですが、第6節まででホーム側が圧倒的に勝っていると言う状況でもなく、アウェイでも十分に戦えています。逆に大将に出したい選手の対策しているであろう相手を予測し、その選手を先鋒・中堅に出すことで、エースを大将戦から引きずり下ろすこともできるアウェイ側が試合を動かしているとも言えます。ただ、それらを踏まえたうえで、残り試合がホームとアウェイの残り数との兼ね合いでも今後の行方が予測できるかも知れません。DivisionSの場合はホームを多く残している忍ismやIBSGが一応有利側にいて、アウェイを多く残しているSS熊本とDFMは辛い立場と言えます。DivisionFだとホームを多く残しているはVRとFAV。アウェイを多く残しているのはRCとCRとなります。

また、第6節から2巡目に入っているので、すでに直接対決がなくなった組み合わせもあります。順位を入れ替えるのは直接対決が一番効果が高いので、落としたい相手との直接対決がなくなっている下位チームは他力本願となってしまうところが厳しいでしょう。

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

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