GO1選手インタビュー|CPT World Warrior Japan・第1戦レポート

GO1選手インタビュー|CPT World Warrior Japan・第1戦レポート

2025年9月7日に『ストリートファイター6(スト6)』のオンライン大会「CAPCOM Pro Tour WORLD WARRIOR Japan 2025(WW)」が開催されました。WWは全5回の大会ごとに上位入賞者にポイントが付与され、ポイントの上位3大会の中から、累計獲得ポイントの上位8名がReginal Finalsへ進出します。Reginal Finalsで優勝するとCAPCOM CUP 12(CC12)への出場権を得られます。さらに、WWの中でもSUPER REGIONとなる大会は、全5大会中の累計ポイントが1位の選手にもCC12への出場権が与えられます。日本大会はSUPER REGIONなので、5大会累計1位の選手とその選手を抜かした3大会の累計上位8名によるトーナメントで優勝した選手のふたりにCC12への出場権が付与されます。

また、CC12への出場とは別に、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)の『スト6』の日本代表選考大会も兼ねています。ちなみに、CAPCOM Pro Tour2025 プレミア大会「Kuaishou FightClub Championship VI・Chengdu」とCC12も選考大会とされています。3つの大会の結果をみて、代表選手が選出されます。

2,000人を超える参加者が集った「WORLD WARRIOR Japan」

今回はWWの第1回となる大会です。エントリー人数はなんと2,357人。WW2024の第1回が714人のエントリーだったので、3倍以上の参加者となりました。直前での出場辞退者や当日欠席などもそれなりに居たようですが、それでも2,000人を超える参加者です。『スト6』になって、競技人口が一気に跳ね上がりましたが、3年目にして、大会参加者の人数が増えたのは、プロゲーマーやストリーマーなどが大会への参加の楽しさを周知してきたおかげなのではないでしょうか。

WW2025は毎回「esports Style UENO」でパブリックビューイングを開催しており、トップ8から実況解説付きの配信、それまでは対戦会とトップ8までの試合のピックアップを解説していました。今回はesports Style UENOに訪れ取材をしてきました。

WWはオンライン開催でしたが、TOP8からはesports Style UENOで実況解説付きのパブリックビューイングが行われました。TOP8までのハイライトと対戦会も実施。
実況はアールさん、解説はハメコ。さん、ゲストにストーム久保さんを迎えてパブリックビューイングが行われました

WW2025 – 第1回をプレイバック

WW2025の第1回を制したのは、GO1選手。EWCの『餓狼伝説 City of the Wolves』での優勝を筆頭に、EWCの『スト6』の5位タイと、様々なタイトルで好調さをみせています。昨年WWでは第1回で優勝した翔選手が累計ポイント1位になっていることからも、CC12への出場の大きな一歩を踏み出せたと言えます。

TOP8はウイナーズサイドは「GO1選手、立川選手、ヤナイ選手、どぐら選手」の4名。ルーザーズサイドは「きんぐすベガ選手、サトル選手、ハイタニ選手、こばやん選手」の4人が進出しました。やはりSFリーガーの実力は高く、コーチ枠の立川選手も含めると5名がSFリーガーです。
SFリーガーでないのは、きんぐすベガ選手とサトル選手とハイタニ選手。サトル選手は17歳ながらeスポーツチームNortheptionに加入している若きプレイヤー、ハイタニ選手は元プロ選手のストリーマーです。きんぐすベガ選手はブランカ使いの中堅プレイヤーです。
この中で注目なのは、きんぐすベガ選手。チームやスポンサーの支援を得ず、世界各国の大会に参加し、結果を残しているプレイヤーです。今大会もTOP8に入り、その存在感を示していました。
ルーザーズサイドの1回戦でザンギエフ使いのこばやん選手を倒すと、ウイナーズサイドから来た立川選手も倒します。ルーザーズセミファイナルではどぐら選手のエレナに敗れてしまいますが、堂々の4位で30ポイントの高得点を稼ぎました。

昨今の『スト6』界隈ではにわかにドライブインパクトが存在を大きくしています。EWCで4回のドライブインパクトで沈んだときど選手を始め、SFLでもドライブインパクトが勝敗のカギとなる試合が多々ありました。今大会もドライブインパクトが猛威を振るいます。
特に顕著だったのが、サトル選手。サトル選手が使用するラシードが画面端に相手を追い込むと、鳥かご状態になる連携で相手がガードに徹する中、抜群のタイミングで繰り出すドライブインパクトが見事に刺さります。1試合で5回のドライブインパクトを出した場面は圧巻でした。ドライブインパクトの猛攻に最後の最後でドライブインパクト返しを決めたどぐら選手も見事。会場はドライブインパクトが決まる度に盛り上がっていましたが、どぐら選手のドライブインパクト返しの時が最高潮でした。
そして、ドライブインパクトと双璧をなすのが中段攻撃。GO1選手とどぐら選手のグランドファイナルでは、体力が残りわずかとなったどぐら選手にドライブラッシュからの中段攻撃を執拗に行い、もはやこれ以上は中段は来ないだろうと思った場面でも中段を打ち、勝利を決めました。この執拗な中段攻撃もドライブインパクト並に盛り上がったのは言うまでもありません。

ドライブインパクトが決まるたびに会場は大盛り上がりです

筆者も大会へ実際に参戦

そうそう、筆者も一応、大会に参加してきました。結果は3勝2敗で769位でした。まあ、勝率5割超えましたし、上位1/3に入れたので満足です。ただ、初戦に負けてしまったので、同じ勝率でも順位自体は低くなってしまったのは残念です。

初戦の相手はほぼ同ランクのルーク使い。どうやらVTuberの方らしいです。フルセットフルラウンドまで行ったんですけど、残念ながら敗北してしまいました。そこからルーザーズサイドで3連勝するのですが、初戦はマスターマリーザになんとか勝利。その後はシルバーEDとプラチナエレナと対戦。さすがに手合い違いといった感じで勝たせていただきました。ちなみにこの時は筆者はハイマスターでした。ルーザーズ4戦目はマスターケン。MR1448でしたし、試合内容的にも勝てそうな気配はあったんですけど、読み合いだったり噛み合わせだったりがうまく行かず敗退です。

大会はおそらくEVO Japan以来で、オフラインだとTOPANGAチャリティー以来かも知れません。まあ、たくさん試合できましたし、久々に大会を堪能できました。今、言及した通り、今回はシルバーとプラチナの人とも対戦できました。最近、オンライン大会だとマスター未満の人とあまり当たらなかったので、このランク帯の人が参加してくれるようになったのは嬉しい限りです。
今回の2,000人超えは『スト6』を始めてみたけど大会とか怖いなぁって思っていたマスター未満のランク帯の人たちが参加してくれたからなんだと思います。おそらく、プロやハイアマチュアが参加する大会だと、勝つことは難しいと思いますが、ランクマッチやカスタムマッチ、バトルハブでは味わえない体験をしたかと思います。また懲りずに参加して欲しいですし、同じようなランク帯で今回の参加を見合わせた人は、同レベルの人が参加しているので、そこまで気負う必要はなく、気軽に参加できる大会だと思っていただければ。参加上限がある大会だとさすがに躊躇したりしますが、参加上限がない大会はなんの遠慮もいりません。第2回で是非、参加してみてください。

初戦で対戦したVTuberのエスカリさん。フルセットフルラウンドまで持ち込みましたが、起死回生のCAをインパラーで潰され敗北しました

優勝者のGO1選手へインタビュー

最後に優勝者のGO1選手のインタビューを掲載します。

――GO1選手、優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください

GO1選手:そうですね、『スト6』ではなかなか優勝ができなくて、準優勝止まりで終わるようなことが続いていたんですけれども、今回、この大人数の中、優勝することができ本当に嬉しいですね。

大会後にオンラインでインタビューに答えてくれたGO1選手

――今回の優勝でCC12の出場権やアジア競技大会への推薦に向けて一歩前進したと思うのですが、それも踏まえて、今後のWWの戦い方や意気込みなどはいかがでしょうか

GO1選手:まあ、正直そこを目指して行くのではなく、一戦一戦、目の前の大会、試合に勝つことを目指しています。ひとつひとつ積み重ねて良い戦績を残すことを大事にして、CC12やアジア競技大会に届くのであれば、さらにそこを目標にして頑張っていこうと言う気持ちでやっております。

――今回大会を含め、今、『スト6』ではドライブインパクトが話題となっていますが、GO1選手はこの現状をどうみていますでしょうか。GO1選手としては、ドライブインパクトをそのまま返すのではなく、投げで対処するなど独自の戦い方もみられていますが

GO1選手:ドライブインパクトに関しては、ドライブインパクトが当たるプレイヤーと返してくるプレイヤーに分かれると思っていまして、返してくる人には極力打たないようにはしています。普段からドライブインパクトが苦手と言っている人には積極的に狙って行っているので、これは以前と変わらないですね。

――なるほど、人対策として打つ打たないを決めるってことですね。今回の大会は昨年の同じ大会と比べて3倍以上の参加者がありましたが、これについてはいかがでしょうか

GO1選手:これは普段通りでやろうぐらいの気持ちで、すごい楽な気持ちで出場していますね。

――配信前の対戦ではts選手やカワノ選手など強豪ともあたりましたが、厳しい相手はいましたでしょうか

GO1選手:『スト6』の調整前は、私が使う春麗は豪鬼と戦いにくい部分があったんですけど、調整が入ってからは良い感じに戦えるようになったので、不得意な感覚がなくなって動き全体が良くなった感じです。それが大きくてトーナメント全体に刺さったと思います。

――グランドファイナルではどぐら選手が途中からベガに変更しましたが、キャラクター的にキツい相手は居ましたでしょうか

GO1選手:正直エレナは(リリースされて日も浅く)対戦経験がめちゃくちゃ少なかったんですよね。なのでエレナ自体は結構対戦する相手としては嫌だなって思っていたんですけど、グランドファイナルはポンポンと2本勝つことができて、どぐら選手がベガに変更してくれたんですよね。私にとってはラッキーと言いますか、良い方向へ転んだ形になりました。

――最後にファンに向けて

GO1選手:今回はすごく良い結果が残せました。皆さんに優勝できる姿をお届けできたのは良かったです。これからもWWは続きますので、応援よろしくお願いします。ありがとうございました。

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(c)CAPCOM

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

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