【SFL:Pro-JP 2025・Division S 第4節】 CAG OSAKA 対 Saishunkan Sol 熊本・応援が力に繋がったオフライン会場をレポート

【SFL:Pro-JP 2025・Division S 第4節】 CAG OSAKA 対 Saishunkan Sol 熊本・応援が力に繋がったオフライン会場をレポート

ストリートファイターリーグ:Pro-JP2025は、Division S 第3節(9月19日)~Division F 第5節(10月17日)のTeam MATCH1の試合をRed Bull Gaming Sphere Tokyoにて有観客オフライン対戦を開催しています。3回目のオフラインとなる9月30日に開催されたDivision S 第4節 CAG OSAKA(CAG) 対 Saishunkan Sol 熊本(SS熊本)の一戦を取材してきました。会場にはCAGとSS熊本のメンバーに加え、SS熊本のコーチを務めるササモ選手と、おそらくCAGのスパーリングパートナーを務めているJr.選手、そして現場のMCとしてNOモーション。のふたりが来ていました。

オフライン会場はRed Bull Sphere TOKYO(撮影・志田彩香)
現場でMCを務めたのはNOモーション。のふたり(撮影・志田彩香)

激しい戦況を振り返ろう

CAGは第1戦で延長戦の末、名古屋NTPOJA(NTPOJA)を倒し、幸先の良いスタートをしましたが、第2戦のGood 8 Squad(G8S)に40-0で敗北し、続く第3戦もFAV gaming(FAV)に30-10で敗北し、最下位に位置しています。第4戦で盛り返したいところですが、相手は強豪SS熊本なうえ、アウェイで苦しい戦いは続きます。

かたやSS熊本は第1戦でFAVを下し、第2戦では下馬評の高いCrazy Raccoon(CR)に延長戦の末、勝利します。第3戦はG8Sに敗北したので、上位に食い込むには連敗は避けたいところです。

アウェイのCAGは、先にすべてのオーダーを発表しなくてはなりません。CAGが選んだオーダーは、先鋒・高木選手(ブランカ)、中堅・えいた選手(豪鬼)、大将・うりょ選手(ジェイミー)、延長戦にフェンリっち選手(ブランカ)という布陣です。これに対して、SS熊本は先鋒にまちゃぼー選手がリュウで対峙します。

1セット目の1ラウンド目はまちゃぼー選手が危なげなく、ラウンドを獲得し、キャリアの違いを見せます。2ラウンド目もまちゃぼー選手ペースで試合が進み、高木選手は窮地に立たされます。そこから高木選手は勝負のSA2の生発動。ブランカのSA2は生発動すると触りに行くまでの時間経過のゲージ消費がもったいないので、あまりしませんが、もはや出さざるを得ない状況に発動します。そこから、なんとか打撃を当てて、ダウンさせるとまちゃぼー選手が逆択のOD昇龍拳を放ちます。本来であれば、数少ないチャンス、しかもSA2状態の高木選手にとっては起き攻めに行きたいところですが、しっかりとガードし、無敵技のパニカンからしっかりコンボを叩き込み逆転でラウンドを取ります。3ラウンド目も開幕早々に当たった打撃からコンボを決める高木選手。再びダウン状態から逆択のOD昇龍拳を打つまちゃぼー選手でしたが、今回も高木選手が選んだのはガード。無敵技のパニカンから大ダメージを叩き込みます。ここでは倒しきれないうえ、バーンアウトして一気に不利になりましたが、投げ抜けや慌てずにゲージ回復に努めます。そして再びSA2を生発動し、相手にプレッシャーを掛けつつも安易な攻撃には出ず、最後はリュウのラッシュからの打撃をジャストパリィし倒しきります。2セット目は打って変わって攻撃的な高木選手。2回のOD昇龍拳をガードからのパニカンで、まちゃぼー選手がもう打てないと判断したか、起き攻めをガンガン仕掛けてきます。最後は画面端でバーンアウトしたところにまちゃぼー選手がドライブインパクトを仕掛けますが、しっかりジャンプで回避し、倒しきりました。ジャイアントキリングと言える内容でしたが、高木選手の気迫勝ちと言う印象も。配信では試合中は会場の声が入っていなかったので、わからないのですが、会場では高木選手は事ある毎に叫び声を上げ、自らを鼓舞していました。1セット取ったあとに「勝った! 勝った!」と叫んでいるのは観客も自然と盛り上がり、まちゃぼー選手にプレッシャーを与えていたと思います。

高木選手対まちゃぼー選手の一戦(撮影・志田彩香)

2試合目はえいた選手の豪鬼に対して、SS熊本はcosa選手のリュウを出します。フルセットフルラウンドまで持ち込まれますが、えいた選手の安定の昇龍拳対空と差し返しの精度の高さでcosa選手を打ち破りました。

cosa選手に勝利したえいた選手(撮影・志田彩香)

3試合目はうりょ選手のジェイミーに対してこばやん選手のザンギエフが登場。こばやん選手の打撃と投げ(スクリューパイルドライバー)のバランス良く、常に択をかけられるプレッシャーが付きまといます。リーサルも打撃からのODダブラリキャンセルSA3を何度も決めており、打撃を印象づけます。最後はキャンセルラッシュからのSA3を発動。打撃を警戒していたうりょ選手は避けることができませんでした。

大将戦でこばやん選手が勝利(撮影・志田彩香)

ポイントは20-20となり、延長戦へ。

延長戦はフェンリっち選手のブランカに対して、SS熊本はネモ選手のベガを出してきます。フェンリっち選手はバーンアウト上等のガン攻めをしかけます。ネモ選手も受けに回ると畳みかけられるとみて、激しい攻めに転じて、殴り合いの様相に。最後はフェンリっち選手の攻めが通りまくりパーフェクトで勝利しました。

これでCAGがアウェイながら30ポイントを獲得。SS熊本も負けはしたものの20ポイントを獲得し次に繋げます。

初戦以来の勝利に沸き立つCAG(撮影・志田彩香)

応援の力を直に感じられた会場

今回は声出し、応援の差が大きく出た試合だと感じました。お祭り男の高木選手とえいた選手は絶えず声を出し、なんなら高木選手は観客に向かって一緒に応援することを促していました。応援の力が必ずしも勝利に繋がるわけではないですが、Red Bull Sphere TOKYOの会場はCAGが作った空気で覆われていたことは間違いないでしょう。

高木選手は観客の声を掛け、観客を味方につけていました

試合が終了したあとは、試合の終わったSS熊本とCAGのミートアンドグリートが行われました。観客席は選手席とほど近く、最後に写真やサインなど、選手と触れあう機会となり、最高のオフラインイベントになったのではないでしょうか。

SS熊本と写真撮影会
CAGと写真撮影会
勝利したCAGはサイン会も行われました

最後にSS熊本とCAGの選手にインタビューをしてきたので、そちらをご覧ください。まずはSS熊本から。

SS熊本・選手インタビュー

――オフラインでの対戦についての感想を

ネモ選手:これまでにもSS熊本でオフライン有観客での試合を行ってことがあるんですが、やはり普段と環境が違うので、みんな緊張してしまっているなっていうのはありました。対戦相手的に、まあ勝てるよねって言う空気が流れていたことが、割と消極的な動きになっていて、そこが敗因になってしまったかなと言うのはあります。

まちゃぼー選手:そうですね、試合は自信が無いときの動きになってしまったと言う感じです。その自信のなさはオフラインと言う環境がそうなったのか、他の要因があったのかわからないですけど、とにかく緊張してしまっていました。

cosa選手:こういった形、オフラインで試合ができたら良いなって思っていたので、これからもやれれば良いなって思っています。お客さんもたくさん入っていただいて、本当にありがたかったです。

こばやん選手:たくさんのお客さんが入って嬉しいですね。勝てたのは大胆に行けたからかなと思いました。今後はチームとして勝っていきたいです。

SS熊本(撮影・志田彩香)

――今回のオーダーはどういう意図で決めたんでしょうか

ネモ選手:誰が誰に当たるという担当制でやりました。

――まちゃぼー選手の対戦相手の高木選手はある意味リスクマッチになる見方もありましたが、そういった緊張感はありましたか

まちゃぼー選手:全体的にふわふわした感じになってしまいました。8割方勝てると思って臨んだのは確かで、ただ、どうして8割方勝てるかというのをしっかり自覚してなかったですね。

次にCAG。

CAG・選手インタビュー

――オフラインでの対戦の感想を

フェンリっち選手:これまでオフラインイベントはパブリックビューイングでやっていたのでCAGのファンしか居なかったんですけど、両方のファンがいる中で対戦し、どちらも応援してもらってお祭り状態で良かったです。

えいた選手:楽しかったと言うのは大前提ですね。今回が3回目で、これまでのオフラインでは声を出しているチームが勝っていると聞いていて、それであれば声を出していこうと思っていました。我々が声を出すとお客さんも自然と声が出て、応援しやすくなったと思います。

うりょ選手:今回、3人が勝利しましたが、勝てたのは応援のおかげって言えます。これだけ近くで応援されているので、しっかりと声は聞こえていました。本当に力になりました。

高木選手:自分は視聴者のおかげで大会に出られていますし、勝てていると思っています。直接オフラインでやれるのは本当に力になった。相手にビビらずにプレイができました。

CAG(撮影・志田彩香)

――オーダーについて

えいた選手:オーダー係です。直前まで僕が大将をする予定だったんですけど、相手がジェイミー戦をあまりやれていない感じがしていたんですよね。ジェイミー使いのなるおさんが体調不良でスパーの相手できていなかったり。なので、ジェイミー大将にすることにしました。

――高木選手はまちゃぼー選手が出した2回の起き上がりOD昇龍拳をガードしたことが、大きくペースを奪う形になったと思いますが、そこは意識していたんでしょうか

高木選手:本来は起き攻めをしたいタイプなんですよ。でも、その場の感じとか、あとまちゃぼーさんなら打ってきそうな感じがしたので、我慢しました。

うりょ選手と高木選手(撮影・志田彩香)
フェンリっち選手とえいた選手(撮影・志田彩香)

ちなみに、会場ではミートアンドグリート終了後もパブリックビューイングとして、引き続きDivision S 第4節のMatch2とMatch3を観ることもできました。結果は、Match2がCrazy Raccoon(CR)対FAV gaming(FAV)は、30-10でCRが勝利。Match3はGood 8 Squad(G8S)対名古屋NTPOJA(NTPOJA)は、30-10でG8Sが勝利しました。

第4節の結果は、上位にいた3チームの中で勝利したのはG8Sだけで、2チームは下位チームが勝利しました。これによりG8Sが頭ひとつ抜けた感が出ましたが、それ以外は20ポイントの中で5チームがひしめき合うダンゴ状態に。今後はG8Sをどれだけ抑えられるかがカギになりそうです。

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

SCROLL TOP