【SFL2025】折り返しでの前半戦の試合を振り返り&後半戦の展望

【SFL2025】折り返しでの前半戦の試合を振り返り&後半戦の展望

8月29日より開幕したストリートファイターリーグ:Pro-JP2025(SFL)は、両Divisionとも第5節が終わり、折り返しとなります。各Divisionとも全チームとの対戦が終わり、後半戦はアウェイとホームが入れ替わって、もう一巡全チームとの対戦が行われます。

現時点での順位表は以下の通り

Division S

  • 1位 Good 8 Squad(G8S) 140ポイント
  • 2位 Grazy Raccoon(CR) 130ポイント
  • 3位 名古屋NTPOJA(NTPOJA) 120ポイント
  • 4位 Saishunkan Sol 熊本(SS熊本) 100ポイント
  • 5位 Victrix FAV gaming(FAV) 80ポイント
  • 6位 CAG OSAKA(CAG) 70ポイント

Division F

  • 1位 広島 TEAM iXA(iXA) 150ポイント
  • 2位 REJECT(RC) 150ポイント
  • 3位 DetonatioN FocusMe(DFM) 110ポイント
  • 4位 ZETA DIVISION Geekly(ZETA) 90ポイント
  • 5位 VARREL(VR) 80ポイント
  • 6位 FUKUSHIMA IBUSHIGIN(IBSG) 50ポイント

Division Sは下馬評通り、G8SとCRが好順位に付けています。しかし、3位のNTPOJAとのポイント差は1位と20ポイント、3位と10ポイントと肉薄しています。さらに4位のSS熊本もNTPOJAと10ポイント差と大きな差はついていません。5位FAVと6位CAGはちょっと苦しい立場ですが、プレイオフ進出の3位内を目標とするのであれば、こちらも届かないポイント差ではありません。

G8Sの強さはやはりチームの勝利数4勝1敗とNTPOJAにしか負けていません。さらに勝利した試合は40-0が1回、30-10が3回と負けても20ポイントの高得点を得られる延長戦に持ち込ませず、相手にポイントを稼がせていないところが強みです。ガチくん選手、カワノ選手、ぷげら選手の固定メンバーの強さに加え、今シーズンから加入したさはら選手が大将戦に2回出場しており、ポイントもガチくん選手に次ぐ40ポイントを稼いでいます。懸念点があるとすればアウェイでまだ勝てていない点。G8Sが残り5戦中3戦がアウェイ戦であるということでしょう。

CRはメンバー4人が平均的にポイントを獲得できている点。3連敗していたボンちゃん選手も2連勝で上がり調子となっており、魂のキャラ、サガットがより洗練されてくれば、さらに手強い存在になりそうです。CRもアウェイに弱い印象ですが、後半戦はホーム3試合、アウェイ2試合とホームの試合が多いのが有利に働きそうです。

NTPOJAは、KEI.B選手の活躍につきます。両Divisionを通じて、ポイント獲得数1位の70ポイントを稼いでおり、全試合出場で全勝を記録しています。昨年加入したもっちー選手が今シーズンで初勝利し、ホームとアウェイ、大将戦とさまざまな状況で勝利できているのもチームへの貢献度が高いと言えます。大谷選手、Seiya選手も勝利しているうえ、負けた試合も好試合を展開しているので、爆発する可能性は秘めています。

SS熊本は2勝3敗と負け越していますが0-40がなく、ポイントは稼げている状態です。新加入のこばやん選手が使用するザンギエフはきつめのカウンターキャラクターがいるので、アウェイでは出しにくく、結果として2戦2敗しています。しかし、「ホームで勝つことが自分の仕事」と言うように、こちらは3戦3勝40ポイントを稼ぐ活躍を見せています。cosa選手とまちゃぼー選手の2枚リュウはどちらも負けた時は惜敗が多く、巻き返す力は十分にあります。

昨年はチームとして1勝もできなかったFAV。第3節においてようやく2年振りの勝ち星を挙げます。しかし、その後も勝利は遠く、1勝4敗での折り返しです。昨年はりゅうきち選手が個人戦で八面六臂の活躍を見せながらもSFLでは2勝10敗でした。個人戦とSFLの成績がリンクしないことは良く言われていますが、今シーズンはもけ選手がその状態です。個人成績は決して悪くありませんが、SFLでは0勝4敗と勝ち星に恵まれていません。4回出場中3回が大将戦であり、チームからの信頼度は高いので、タイミングやきっかけ次第で後半戦は勝ちまくる可能性はあります。りゅうきち選手と藤村選手は3勝ずつしており、こちらは安定感を見せているので、逆転の芽はまだまだあります。

CAGは、2回の0-40があり、ポイントが稼げなかったことで最下位に位置していますが、チーム勝利としては、FAVよりも多く、SS熊本と同じ2勝をあげています。どちらもアウェイでの敗北なので、アウェイで大負けを阻止する対策が急務と言えるでしょう。CAGはなんと言っても新加入の高木選手の活躍につきます。ストリーマーからプロゲーマーへの転向で、猛者揃いのSFLでは実力不足の心配もされていましたが、初戦のもっちー選手戦に勝利し、第4戦のまちゃぼー選手にも勝利しています。第5戦のぼんちゃん選手戦もミスによって流れが変わり敗退となりましたが、ぼんちゃん選手に引けを取らない戦いを見せていました。また、ストリーマー出身ということもあり、ファンへの対応が良く、オフライン対戦でも声出しをし、自分や仲間を鼓舞していました。さらに観客も巻き込み、会場は一気にCAG一色にしたのは、さすがと言えます。上位チームにとって、後半戦はCAGがリスクマッチとなりかねないので、CAGがそこをつけ込めばまだまだプレイオフ進出の可能性は残されています。

Division Sの前半戦のチーム順位の推移

Division FはiXAが大躍進。150ポイントを稼ぎ、RCと同ポイントの首位で折り返しています。3位は40ポイント差とちょっと離れた印象のDFMです。4位のZETAが90ポイント、VRが80ポイントと3~5位はダンゴ状態です。6位のIBSGはかなり厳しい状況と言えます。プレイオフ当落ラインの3位を目標にしても、現状でDFMと60ポイント差はなかなか追いつけない数値です。

今シーズンはエースの活躍よりもチーム総合力が重要とみられていましたが、iXAはまさに総合力のチーム。あでりい選手が新人ながら50ポイントを稼ぎエース級の活躍をしていますが、ACQUA選手、ひびき選手、あきら選手が揃って30ポイントを獲得し、どの選手の組み合わせのオーダーでも対応できる力を持っています。

2位のRCはなんと言ってもLeShar選手。勝率8割のうえ、大将を任せられることが多く、ダントツの70ポイントを稼いでいます。次ぐふ~ど選手も50ポイントと高ポイントをゲット。ときど選手もしっかりポイントを稼いでおり、あとはウメハラ選手の活躍が待たれるところ。良い試合をしているうえ、個人戦では好成績を残しているので、後半戦は頼れる存在になりそうな気配。

3位のDFMはナウマン選手の40ポイントを筆頭に、竹内ジョン選手の30ポイント、板橋ザンギエフ選手とGO1選手の20ポイントと、平均的にポイントを稼いでいます。ただ、GO1選手は5戦1勝とチームの期待通りの勝ち星を得られていないのが3位に止まらせているとも言えます。GO1選手が実力通りの勝ち星をあげるようになってくると、一気に上位も見えてきます。

ZETAは、翔選手の欠場が大きく成績に影響しています。翔選手を欠いても実力者揃いのオールスター軍団ではありますが、やはりひとり少ないと延長戦=負け確になるうえ、対戦相手からすれば、攻略すべきキャラクターや選手が3/4になり、他のチームよりも対策しやすくなると言えます。これが前半戦の結果に表れています。後半戦に入り、翔選手の引退が報じられ、ヤマグチ選手が延長戦に限り出場することになりました。前半戦の懸念を大きく払拭されるうえ、リーダーのももち選手が以前率いていたチーム忍ism Gamingは後半戦に強い印象があるので、ZETAになっても後半戦の巻き返しは十分に期待できるでしょう。

VRは、勝ち頭がいないうえ、YHC-餅選手がポイント獲得できていないのが痛いところ。ただ、全体的に状態が悪いという状況でもないので、きっかけがあれば浮上の兆しも見えてくるかと。逆に言えば、現状ではそこそこポイントを稼ぎながらも上位に追いつけない状態のまま終わる可能性もあるのではないでしょうか。

IBSGは戦力的には他のチームよりも多少見劣る部分もありますが、試合内容は決して悪くなく、勝ち運がないと言う印象。ただ。このままでは善戦したと言う結果しか残らない可能性もあるので、ギャンブル的な布陣や対策を用意してでも、高ポイントを取りに行く施策が必要だと言えます。

Division Fの前半戦のチーム順位の推移

後半戦からは新たに投入されたC.ヴァイパーの使用が解禁されます。リリースされてから間もない状況では、SFLで使用できるほどの練度を高めるのは難しいと思われますが、対戦する側もC.ヴァイパーの動きや対策を練られる訳ではないので、使用する側の利点が上回ることもあり得ます。C.ヴァイパーの投入によっては、戦局が大きく変貌することもあるので、前半戦と同じような流れで行くとは限らないでしょう。

また、後半戦は前半戦で1度対戦した相手との再戦。ホームとアウェイは入れ替わりますが、同じ対戦相手としての対策が形になるので、どういった対策がみられるかも楽しみです。

©CAPCOM

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

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