EVO2025スト6部門でMenaRD選手が初の戴冠!【若手選手の活躍も見逃せない】

EVO2025スト6部門でMenaRD選手が初の戴冠!【若手選手の活躍も見逃せない】

現地時間8月1日~3日に北米・ラスベガスにて、格闘ゲームの祭典「EVOLUTION Championship Series 2025(EVO2025)」が開催されました。
EVO2025は誰でも参加することができるオープントーナメント大会で、8つのメイントーナメントとコミュニティ主催のサイドトーナメントで行われます。日本で開催しているEVO Japan(EVOJ)の本家であり、対戦格闘ゲームの最高峰、最大級の大会です。

EVO2025は『ストリートファイター6(スト6)』『TEKKEN8』『GUILTY GEAR -STRAIVE-』『グランブルーファンタジーヴァーサス ライジング』『アンダーナイトインヴァース2 セシタセレス』『モータルコンバット1』『餓狼伝説City of the Wolves』『マーヴル VS. カプコン2』の8タイトルがメインタイトルです。

progaming.jpではこの中から『スト6』をピックアップして、大会のレポートをお届けします。

MenaRD選手がEVO Jから続けての連勝&全勝

結果からお伝えしますと、優勝したのはドミニカ共和国のMenaRD選手です。2025年5月に開催されたEVO Jに続いての優勝です。しかも1度も負けずに優勝しており、これはEVO Jでも達成しているので、快挙と言えます。さらにMenaRD選手はCAPCOM CUP(CC)を2度優勝しており、これで格闘ゲーム3大大会優勝となり、ももち選手に続きグランドスラムも達成です。今年はEVO FRANCE2025の開催も予定しているので、同一年EVO3冠の夢も残しています。また、3大大会と同等の大会として、ESPORTS WORLD CUP(EWC)も残されているので、初の4冠、5冠の達成も期待されます。

EVOでは初、EVOJでは2年連続で優勝しているMenaRD選手(YouTube:Capcom Fighters JPより)

勝ち上がる選手が強者揃いの傾向に

『スト6』部門は4228人が参加。EVOJ2025が6653人の参加なので、EVOJの約2/3の規模です。発売年である2023年は7000人を超える参加者があったので、少し落ち着いた感はあります。それでもEVO2025の総参加者は8541人なので、約半数の参加者が『スト6』部門に参加しており、その人気の高さが伺えます。

昨今の大型大会は相互的に好成績を収めた選手に他の大会の出場権が付与されることが多くなっています。EVOも優勝者と準優勝者にEWCの出場権、優勝者にはCCの出場権が与えられます。さらにCAPCOM Pro Tour(CPT)のプレミアポイントも付与されています。ちなみに、すでにCCやEWCの出場権を持っている人は、順延で持っていない人が取得するようになっています。CCの出場権は3位のMicky選手が、EWCの出場権は3位のMicky選手と9位の鶏めし選手が獲得しました。EWCが直前に迫りほとんどの枠が決まっていることもある中で、上位2名に出場権を与えられる条件で9位の選手が獲得できているため、EVOの上位入賞者はそれだけ常態的に強い選手が勝ち上がっていたとも言えます。

プレミアムポイントに関しては、ポイントが順延されず、どんな状況でも順位によってポイントが付与されます。つまり、CC出場権を持っている選手がポイントを獲得すると、ポイントレースとは関係無くともそのポイントが付与され、実質ポイントが消滅してしまいます。ポイントを獲得できる大会は残り3回となっており、その3回でも出場権保有者が上位入賞することも考えられるため、現状のポイント上位者がかなり有利になると言えます。

プレミアムポイントの振り分け。すでにCC出場権を持っている人がポイント獲得すると、事実上ポイントが消滅してしまいます(YouTube:Capcom Fighters JPより)
現状のプレミアムポイントTOP8(@CapcomFightersより)
TOP9から16まで(@CapcomFightersより)

日本からはプロゲーマーを始めハイアマチュアの選手やストリーマーなど数多くの選手が参加しており、海外からも有名選手の名前はトーナメント表で散見されます。

群雄割拠なトーナメントでTOP8を決めたのは、ウィナーズサイドで翔選手・ふ~ど選手・MenaRD選手・Phenom選手。ルーザーズサイドでLeShar選手・xiohai選手・AngryBird選手・Micky選手の8名です。日本人選手はもちろんのこと、海外選手もCCやEVO Jで見知った選手揃いです。

その中で異彩を放っていたのが、香港のMicky選手です。わずか17歳ながら、見事にファイナリストに名を連ねています。

EVO2025で大躍進をしたMicky選手(YouTube:Capcom Fighters JPより)

新進気鋭の若手選手の登場も見逃せない

ここ数年、『スト6』の大型大会では新進気鋭の若手選手が現れ、その後も活躍しています。2023年のCCIXで登場した英国のEndingWalker選手(当時17歳・現19歳)、2025年のCC11で登場したチリのBlaz選手(16歳)がその代表格です。今回のEVOでの新星の登場に、まだまだ在野に若い人材が埋もれていることを知らしめられた思いです。

Micky選手は早々にShiane選手に敗北し、ルーザーズサイドでの戦いを強いられます。その為、最終的には19戦も行うハードなトーナメントを戦わざるを得なくなります。試合数が多くなれば、それだけ強豪との対戦も増え、Vxbao選手・Shine選手(2度目の対戦でリベンジ)・EndingWalker選手・鶏めし選手を倒し続け、TOP8まで泳ぎ切ります。

TOP8でも、AngryBird選手・ふ~ど選手・Phenom選手を倒す大金星をあげ、ルーザーズファイナルまで駆け上がります。ルーザーズファイナルで翔選手に敗れてしまい、結果は3位となりましたが、EVO2025を沸かせた選手のひとりであることは間違いないでしょう。ちなみに、CC11の時の新鋭であるBlaz選手を倒したのも翔選手。もはや若手を阻む城壁、門番として存在していると言えます。

日本勢も20歳のさはら選手がTOP24に残っており、その存在感を示していました。若手の台頭は次世代を牽引する人材なので、『スト6』の競技シーンの未来は明るいと言えます。

TOP8では、翔選手がふ~ど選手に勝利。先だって行われた第6期TOPANGA ChampionshipのFinal Stageで敗北しているので、リベンジです。これでEVO王者にあと一歩まで迫ります。大舞台に強い翔選手なので、優勝の期待も高まります。ウイナーズファイナル、グランドファイナルとMenaRD選手に2度の挑戦権を得ましたが、1セットも取ることなく、準優勝で終わりました。翔選手をもってしてもこの結果となったのは予想外だと言わざるを得ません。ブランカと相性が良いと言われている胴着キャラ(リュウやケン、豪鬼、ルークなど)やE.本田で対策するとしても、それらに相性が良いと言われるザンギエフも使えてしまうのがMenaRD選手です。もはやキャラクター対策でなく、MenaRD選手の人対策をしないと対応できないのかも知れません。まあ、それすらも難易度は高いと思いますが。

優勝トロフィーにキスをするMenaRD選手(YouTube:Capcom Fighters JPより)

Day3のTOP8の試合の前にEVOの今後の予定が、試合の終了後にSFLについての発表がありました。EVOに関しては2026年のEVOJ、EVOの開催日が発表。SFLはUSとEUのチーム構成が発表されました。SFLはJPがもっとも規模が大きく盛り上がっていると言えますが、USも今期からチームを増やし7チーム制に。EUも新チームを加え、新たな展開をみせています。SFLがより拡大し、各リーグがより強化され、さらにはJP、US、EU以外の地域でもリーグが発足されることを期待したいところです。

EVOJ 2026は5月1~3日に開催(YouTube:Capcom Fighters JPより)
毎年8月に開催していたEVOが2026年は6月26~28日に開催(YouTube:Capcom Fighters JPより)
EVO SINGAPOREが2027年の早い内に開催。EVOブランド4つめの大会に(YouTube:Capcom Fighters JPより)
EVO AWARDSはEVO FRANCE2026年に開催予定(YouTube:Capcom Fighters JPより)
2026年のCEOの開催はTシャツで発表。8月14~16日を予定(YouTube:Capcom Fighters JPより)

べてぃちゃんの「おじHUNT」の特別編「OG HUNT」も

『スト6』関連では、本戦トーナメント以外に、べてぃちゃんの「おじHUNT」の特別編「OG HUNT」も行われました。おじHUNTは、数々のノンプロのベテラントッププレイヤー(いわゆるおじプレイヤー)と6先ワンセットの2セット先取での長期戦を行う企画。石井プロ・総師範KSK・ハンサム折笠・こく兄・大須晶・アールと名だたるプレイヤーを葬り去ってきました。そして、EVO2025にて、北米のレジェンドプレイヤーで現在ストリーマーとして活躍するJustin Wongとの対決です。Justin Wongはウメハラ選手のライバル的存在で、かの有名な「背水の逆転劇」でのウメハラ選手の対戦相手で「レッツゴー、ジャスティン」の掛け声でお馴染みの選手です(掛け声はWay to goの説もあり)。実績としては、もっとも高いOGと言えます。

Justin Wongが選択したのはキャミィ。おそらくやり込み具合は現役のべてぃちゃんの方が上回っていると思われましたが、結果は2-1でJustin Wongの勝利。べてぃちゃんはおじHUNT初の敗北となりました。一応、敗北したら企画終了でしたが、これが本家おじHUNTの結果にカウントされるかはわかりません。どのみち、次回開催も発表されていないので、これで終息する可能性もありそうです。まあ、現役ではないとは言え、一時代を築いた伝説に1セットもぎ取ったのは快挙と言って良いのかも知れません。今後もべてぃちゃんの活躍には期待しています。

1セットを取られたところから、2セットめをフルセットフルラウンドからジャスティンの連携に無敵技を差し込み勝利したべてぃちゃん(YouTube:Evo Eventsより)
激戦を終えて握手をするJustin Wongとべてぃちゃん

(c)CAPCOM

【日本語実況】EVO 2025 – Day3「CAPCOM Pro Tour 2025 Premier」

Evo 2025: Betty vs Justin Wong OG Hunt

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

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