【ESPORTS WORLD CUP 2025】ストリートファイター6 本戦 Day4 決勝トーナメントレポート

【ESPORTS WORLD CUP 2025】ストリートファイター6 本戦 Day4 決勝トーナメントレポート

EWC 2025の『ストリートファイター6(スト6)』部門のDay4は最終日です。本戦 決勝トーナメントに進出した16名によるシングルエリミネーショントーナメントとなります。試合はBO9(5本先取)で行われ、1度でも負けるとその時点で敗退となります。

1回戦の組み合わせ

  • AngryBird選手対ひぐち選手
  • MenaRD選手対EndingWalker選手
  • Zhen選手対GO1選手
  • Xiaohai選手対鶏めし選手
  • YHC-餅選手対松五郎選手
  • Blaz選手対板橋ザンギエフ選手
  • LeShar選手対カワノ選手
  • ふ~ど選手対ボンちゃん選手

1回戦で注目したいのは、2戦目に行われたMenaRD選手とEndingWalker選手戦。MenaRD選手はEVO Japan、EVOと連覇をしており、手が付けられない強さを誇ります。EndingWalker選手はそのMenaRD選手のブランカに対して独自の攻略で追い詰めて行きます。一度、ベガにスイッチするも敵わないとみると再度ブランカに戻します。しかし、EndingWalker選手の牙城を崩すことができず、誰もが予想しなかった5-0で勝敗が決まりました。

もうひとつの注目の試合は、LeShar選手対カワノ選手戦。この対決は、ストリートファイターリーグ:Pro-JP(SFL)のグランドファイナルで何度も戦った組み合わせです。SFLでは無類のLeShar選手でしたが、カワノ選手が完璧な対応を見せ、粉砕しました。その結果により、しばらくLeShar選手が不調となったくらいです。しかも、カワノ選手は今大会ではフェーズ1でMenaRD選手に敗退するもフェーズ1ルーザーズサイドとフェーズ2で圧倒的な力を見せて勝利しており好調を維持しています。しかし、LeShar選手はそんなカワノ選手を冷静に対処して勝ちを重ねていきます。終わってみれば5-0ストレート勝利。これだけ差がつく実力ではない組み合わせの結果に驚きを隠せません。

『餓狼伝説 City of the Wolves(CofW)』で優勝してClub Championsポイントを1000ポイント稼いでいるGO1選手は、Zhen選手に勝利したことでさらに200ポイントを加算しています。この時点でランキングは12位となり、チームに入る賞金は45万ドル(約6750万円)となりました。

『餓狼伝説 CotW』と『スト6』で1200ポイントをひとりで稼いだGO1選手。唯一のTOP16で海外勢に勝利した選手でもあります(Capcom Fighters JPより)

TOP8からBO9となりましたが、ほとんどもつれ込みことがなく、敗者側は最大で2勝しかできませんでした。

TOP8開始時には日本人選手が過半数の9名も居ましたが、1回戦が終了した時点では3名までに激減しています。そのうち2名は日本人同士の対決で必然的に勝ち残るので、海外勢を破っての2回戦進出はGO1選手のみでした。

1回戦の勝者

  • AngryBird選手
  • EndingWalker選手
  • GO1選手
  • Xiaohai選手
  • YHC-餅選手
  • Blaz選手
  • LeShar選手
  • ふ~ど選手

2回戦の組み合わせは以下の通り

  • AngryBird選手対EndingWalker選手
  • GO1選手対Xiaohai選手
  • YHC-餅選手対Blaz選手
  • LeShar選手対ふ~ど選手

1戦目のAngryBird選手対EndingWalker選手は豪鬼対リュウの胴着対決。攻めと守りのバランスの良いAngryBird選手が徐々にEndingWalker選手を追い詰め、5-2で勝利しました。

2戦目のGO1選手対Xiaohai選手戦は『餓狼伝説CotW』の決勝戦の組み合わせ。Xiaohai選手はベガを出してきます。序盤はGO1選手がセットカウントを先行しますが、徐々にXiaohai選手が追いつき、ベガの火力を押し付けます。5-2でXiaohai選手が『餓狼伝説 CofW』のリベンジを『スト6』で果たしました。

3戦目のYHC-餅選手対Blaz選手はEWC2025本戦出場選手の中の最年少と最年長の対戦。YHC-餅選手のダルシムは胴着キャラに優位を取れると言われていますが、Blaz選手が少しずつYHC-餅選手を追い詰めていき、Blaz選手が勝利しました。Blaz選手は1回戦で板橋ザンギエフ選手も倒しており、年長者キラーとして存在しています。

4戦目はLeShar選手対ふ~ど選手のReject同門対決。しかもEDミラー。1勝1敗となった時点でLeShar選手はテリーにチェンジ。ここからセットを取り合う展開で、今大会初の4-4となります。ここでふ~ど選手がDeeJayを選択。しかし、この選択は活かされずLeShar選手が勝利しました。

4戦目はSFLとしては同門となる対戦(Capcom Fighters JPより)

この時点で9人いた日本人選手はすべて敗退です。2回戦ではひとりも勝利できなかったので、TOP16からの日本時選手と海外勢の対戦は1勝7敗と言う結果に。

準決勝の結果

準決勝1戦目はAngryBird選手対Xiaohai選手。AngryBird選手は豪鬼、Xiaohai選手は舞を選択します。1セットXiaohai選手が取得した2セット目、Xiaohai選手の壁際の起き攻めをバックステップで避けてからの瞬獄殺を決め、会場のボルテージは一気に高まります。しかし、Xiaohai選手はそんなことは物ともせず、試合を支配していきます。花鳥扇で相手を少しずつさげて、画面端で有利を取って倒しきる形が続き、5-1でXiaohai選手が決勝進出です。

準決勝2戦目はLeShar選手対Blaz選手。LeShar選手は最初からテリーを選択します。Blaz選手はリュウ1本の様相。Blaz選手は正確無比のジャストパリィと相手のドライブゲージを削る攻撃を仕掛け、バーンアウトを誘発させます。相手がバーンアウトになると一気呵成の攻撃で一方的に体力を奪っていきます。かたやBlaz選手もバーンアウトを恐れずにゲージを使っていきます。恐れない理由はバーンアウトしても、対処がうまく、一気に体力が奪われることがありません。LeShar選手は1勝2敗になった時点でキャラクターをEDにチェンジ。すかさずセットを取り返し、キャラ変の効果を出します。その後もフルラウンドが続き、お互いがセットを取り合う展開に。結果は5-3でBlaz選手が勝利しました。

3位決定戦の結果

3位決定戦はAngryBird選手対LeShar選手。EWCの決勝トーナメントはシングルエリミネーショントーナメントなので、3位決定戦が別に用意されています。LeShar選手は今回もテリーからスタートです。AngryBird選手は固い守りでLeShar選手の猛攻を凌ぎ、反撃のチャンスを見極め、そこでダメージを奪う形がうまくハマっていきます。なんとか食い下がるLeShar選手は終盤に3セット連取し、4-4となり、最後の1セットにかけます。フルセットフルラウンドに末、最後はツインゲイザーでLeShar選手が逆転勝利となりました。これでLeShar選手が3位、AngryBird選手が4位確定です。

グランドファイナルの結果

グランドファイナルはXiaohai選手とBlaz選手の1戦。Xiaohai選手が優勝すればEWC連覇となり、Blaz選手が優勝すれば15歳の若さで頂点に立ちます。Xiaohai選手はBlaz選手のリュウに対してベガを出してきます。Blaz選手が3セット連取したところで、Xiaohai選手は舞にチェンジ。このキャラチェンジが見事にハマり、2勝1敗で3-3のタイまで戻します。舞の花鳥扇と置き技に苦労しているBlaz選手は堪らずキャラをケンに変更します。Blaz選手もキャラ変が功を奏し、すかさずセットを取って優勝にリーチをかけます。Xiaohai選手も粘り、4-4のイーブンに。最終セットもお互いにラウンドを取り合い、フルセットフルラウンドに。Blaz選手はXiaohai選手の体力をCA発動の黄色ゲージまで追い込むも、そこからXiaohai選手が反撃し、長いコンボからCAをたたき込み、倒しきりました。これでXiaohai選手が2連覇を達成しました。

CAのダメージから十分倒しきりになるところでしたが、K.O.の文字が出るまで席を立たず、最後まで気を緩めなかったXiaohai選手(Capcom Fighters JPより)

EVOとEVO Jを無敗で勝利し、手が付けられない強さを誇るMenaRD選手に5-0の完封で勝利したEndingWalker選手がさすがに最強かと思われたなか、そのEndingWalker選手をAngryBird選手が倒しました。そのAngryBird選手を5-1で圧倒したXiaohai選手と、毎試合これ以上の選手はいないだろうと言うところに、それを上回っていく最後まで目が離せない大会でした。

優勝盾にキーをはめ込むXiaohai選手(Capcom Fighters JPより)

そんな強豪ひしめきあう中、連覇をしたXiaohai選手には賞賛以外のなにもありません。そして、CC11に引き続き準優勝となった若きBlaz選手の活躍も見逃せません。快挙と言えますが、Blaz選手に取ってみれば大きなチャンスを2回連続で逃したと言えるかも知れません。いわゆるシルバーコレクターになりかねないので、今後の活躍に期待したいところです。

最後の最後で、上り空中竜巻旋風脚を出すミスをしてしまったBlaz選手。大胆不敵な15歳もXiaohai選手のプレッシャーに気圧されてしまった(Capcom Fighters JPより)

EWCは賞金も高く、当然、個々のタイトルの優勝が重要ですが、それ以上にClub Championsの賞金の高さが注目されます。EWC2025を優勝したのはFalconsですが、その優勝ポイントは5200ポイントです。DFMのGO1選手はひとりで1200ポイント、Xiaohai選手はひとりで1750ポイント稼いでいます。個人戦の対戦格闘ゲームで複数タイトルプレイできるプレイヤーは、それだけチームに貢献できる可能性があるので、EWCのClub Championsを狙っていくチームは、マルチタイトル格ゲープレイヤーの獲得がカギとなっていくかも知れません。その点も含めて、来年のEWCへ向けた各チームの動きは追いかけていきたいと思います。

EWC 2025 スト6日本語実況(Capcom Fighters JP)

(c)CAPCOM

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

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