『スト6』のコミュニティ大会「Fighters Crossover 全国大会 #00」が開催! 全国各地の対戦会の代表チームが高田馬場に集結

『スト6』のコミュニティ大会「Fighters Crossover 全国大会 #00」が開催! 全国各地の対戦会の代表チームが高田馬場に集結

3月9・10日、ASH WINDER Esports ARENAにて『ストリートファイター6(スト6)』のコミュニティイベント「Fighters Crossover」の全国大会「Fighters Crossover全国大会 #00(FC全国大会)」が開催されました。FC全国大会は、3on3のチーム戦で行われ、対戦は1本先取(1先)の勝ち抜き戦となっています。

Fighters Crossoverはコミュニティイベントを個人で運営するかげっちこと影澤潤一氏が主催するオフラインコミュニティイベントです。古くは『ストリートファイターV』の時代からe-sports SQUARE AKIHABARAで対戦会を開いており、コロナ禍で一時期中断したのち、『スト6』のリリースとともに復活しました。現在ではFighters Crossoverの活動に賛同する人たちが全国でもFighters Crossoverの看板を掲げて全国津々浦々で対戦会を開催しており、今では札幌、仙台、郡山、岩手、秋葉原、立川、横浜、川崎、群馬、名古屋、静岡、長野、新潟、金沢、大阪、神戸、香川、鳥取、福岡、熊本、大分、長崎で開催しております。今回のFC全国大会は、これら全国の開催地のいくつかで予選を行い、そこで全国大会への切符を手にしたチームのみが集まります。9日にはLCQの最終予選が行われ、これに勝利した2チームと全国各地で勝ち抜いた30チーム、合わせて32チームによってシングルエリミネーショントーナメントが行われました。

決勝トーナメントは4つのグループに分けられていますが、それぞれがトーナメントの山となっているだけで、グループの勝者がベスト4に進出と言ったイメージです。

関東、関西地区からはプロゲーミングチームがそのまま参加したり、プロゲーマー同士がチームを組んだりと、かなり名が通った面々が見受けられます。それ以外の地方はさすがに界隈では名が通った人たちばかりですが、プロゲーマー以外の参加も目立ちます。本来であれば、プロゲーマーに分がありそうですが、そこは1先の勝ち抜き戦。何があるかはわかりません。かみ合ってしまえばプロと言えども、1戦中に取り戻すことは難しいわけです。さらに、プロゲーマーであれば、性能の高いキャラクター、いわゆるTierが高いキャラクターを選びがちですが、プロゲーマー以外であれば、さまざまなキャラクターを使用してきます。すべてのキャラクターに対策することは難しいので、情報不足で倒されることも多々あります。実際、2日目の決勝トーナメントの32チーム、96人で、21キャラクターすべてが登場していました。

トーナメント1回戦の結果を見てみると、半数近くのプロチーム、もしくはプロゲーマーによるチームが敗退しています。

トーナメント表。勝ち抜いた地域とチーム名、チームメンバーと使用キャラがひと目でわかります

プロチームが初戦から敗退する波乱の展開

グループAは、CAG(フェンリっち選手/GO1選手/えいた選手)やIBUSHIGIN(おこめ選手、ヤナイ選手、翔選手)などのプロゲーミングチームに、プロゲーマーがチームを超えて組んだユニットのうんす軍(うんす選手/ヤマグチ選手/ひぐち選手)と棒と風波と中パンチ(ネモ選手/Jr.選手/ぷげら選手)が本命と言えます。その中でグループ抜けをしたのは、うんす軍。準決勝では、Saishunkan Sol 熊本のネモ選手とひぐち選手が対決するなど、SFLでは観られない対戦もありました。

SFLでは起こりえないネモ選手対ひぐち選手

グループBはプロチームがいませんでしたが、それでも界隈では有名どころが揃っており、こちらも激戦区です。ここで勝ち抜けたのは、BCD(ITK選手/ゆかりさん選手/Reiketsu選手)でした。

グループCはグループAに負けず劣らずのプロがひしめくトーナメントです。個人的には大本命と思っていた青春(ナウマン選手/なるお選手/かずのこ選手)が1回戦で敗退する波乱含みの展開です。FAV CUPで活躍したひびき一家(ひびき選手/ts選手/えびはら選手)や広島 TEAM iXA(じゃじい選手/あくあ選手/稲葉選手)などを退け、おんぶにだっこ(なおーん選手/ナリ君選手/KEI.B選手)が勝ち上がりました。

グループDは、こちらもプロ選手のユニットが多く、どこが勝ち抜くか予想も付かないほど拮抗した印象です。グループDでもっとも注目を集めたのは初戦のアゲアゲパリピ超新星(うたまる選手/レオ選手/あじふらい選手)とエヴァ:e(シュウジ選手/ひかる選手/わびいち選手)は全員が10代のフレッシュさを全面に押し出すチームですが、アゲアゲパリピ超新星には12歳の新星レオ選手がいます。まさに次世代の格ゲー界を背負って行くであろう若手がいきなり対決します。結果はエヴァ:eが勝利。そのまま勢いにのり、グループDも勝利しました。これでベスト4には、うんす軍、BCD、おんぶにだっこ、エヴァ:eの4チームが残りました。

福岡チーム。名は通っていても顔まではわからなかった人たちのご尊顔を拝めるのもオフライン全国大会ならでは。(左から大分人選手、赤眼龍選手、ミゾテル選手)
グループCを勝ち抜いたおんぶにだっこ(KEI.B選手(下)/ナリ君選手(左上)/なおーん選手(右上)

準決勝でうんす軍、エヴァ:eが勝利し、いよいよFighters Crossover全国大会初代王者が決まります。先鋒戦ではエヴァ:eのわびいちルークがうんす軍のうんすEDを倒します。しかし、中堅のひぐちガイルがわびいちルークを撃破し、イーブンに。ここでエヴァ:eは中堅にシュウジガイルを出し、ガイルミラーを挑みます。そのオーダーが見事にあたり、シュウジガイルが勝利を収め、リーチをかけます。後がなくなったうんす軍ですが、ここからヤマグチディージェイが巻き返します。相性の良いと言われるガイルを撃破したあとは、ひかるA.K.I.も倒し、うんす軍の勝利となりました。

ベスト4まで進出したBCD(左からITK選手/ゆかりさん選手/Reiketsu選手)
勝った方が優勝となる決勝戦(左からひかる選手、ヤマグチ選手)
優勝したうんす軍(左からヤマグチ選手、うんす選手、ひぐち選手)

参加者全員が楽しめるレギュレーション

これだけの規模となると、かなり大がかりな座組での運営と思われがちですが、基本的に主催者であるかげっち氏個人による大会です。個人運営のコミュニティ大会でもここまでの規模ができるというのは、かげっちさんの努力とノウハウ、そしてその理念に賛同する人たちによって成り立っているんだと思います。

昨今のeスポーツの発展により、より大きな大会が開催されるようになり、より高額な賞金が出たり、プロとして生計を立てられるようにもなってきました。しかし、それだけにプロ未満の中上級者以下が、勝ちきることが難しくなっています。CPTはオープントーナメントですが、CAPCOM CUPへの出場権がかかっている以上、プロ選手の戦いの場となるのは必然です。その意味ではチーム戦で1先勝負の勝ち抜き戦という、結果が安定しないレギュレーションだからこそ、多くの人が楽しめるようになっているのでしょう。しかも、それが全国大会まで用意されているのは、プレイヤーにとって嬉しい限りです。草の根的には、多くの人がプレイを楽しみ、大勢の人と対戦したいと言う希望があるわけです。プロ選手は賞金やギャラ度外視で参加してきますし、地方開催での代表者は自腹を切って東京にやってきます。もちろん、運営の人たちも喜んで手伝っており、主催者のかげっちさんは運営費を負担しているわけです。

ステージ以外の会場は対戦台が設置しており、自由に対戦を楽しんでいました
プロ選手も対戦の順番待ちをしています

実況席にはかげっちさんのほかに、ふり~ださんやコーリーさんと言ったプロとして活躍している人も参加していましたが、それと同時にキャスター志望の若手も登用されていました。昨年、惜しくも亡くなられてしまったキャスターのなないさんは、Fighters Crossoverの出身で、同じく、コミュニティとかげっちさんに育てられ、独り立ちできました。第2、第3のなないさんを育てる意味としても、重要な大会となっていたのではないでしょうか。

ふり~ださん(写真左)とかげっちさん(写真右)に挟まれ、実況をするはスタッフのハマシカさん(写真中央)
選手入場時にコーリーさんに呼び出しをされるのは選手としては嬉しいところ

選手もSFLで活躍するナウマン選手、立川選手、竹内ジョン選手らもFighters Crossover出身です。今回、エヴァ:eを含め、多くの若手が活躍したのも、彼らの後を追いかけていくようで感慨深いものがあります。数年後には今回の全国大会の活躍がきっかけと言われるような状況が来るかも知れません。

新たな世代の力を見せつけたエヴァ:e(左からシュウジ選手/ひかる選手/わびいち選手)

ともあれ、全国大会は無事終了しました。タイトルに#00とあるように、かげっちさんにとってはまだ準備大会なのでしょう。そしてナンバリングがあると言うことは次回もあると言うことです。今回の大会を観て、賛同する気持ちが出てきているのであれば、選手としての参加はもちろん、スタッフとしての手伝い、スポンサーとしての支援など、さまざまな形で関わってみてはどうでしょうか。

I・O DATAのブース。ゲーミングモニターのGiga Crystaを展示
GRAPHTのブース。プロトタイプのボタンの展示や『スト6』キャラのワッペンの販売などをしていました
最後にスタッフ全員で記念撮影です

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas

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