【現地レポート】第6期 TOPANGAチャンピオンシップ ━ 優勝はふ~ど選手に

7月11~13日にラフォーレミュージアム原宿にて、第6期TOPANGAチャンピオンシップのFINAL STAGEが開催されました。TOPANGAチャンピオンシップは『ストリートファイター6(スト6)』を使用した招待制リーグ戦とオープントーナメントが融合したイベントです。これまでTOPANGAチャンピオンシップはFINAL STAGEのみオフラインで開催し無観客での配信のみでしたが、今大会で、初めてのオフライン大会の開催となりました。昨今の『スト6』イベントでは有観客オフライン大会が珍しくもなくなってきているので、TOPANGAチャンピオンシップも有観客となり、まさに満を持してと言った印象です。



オープントーナメントとなるQUALFYING ROUNDでは予選トーナメントを勝ち抜いた16名が2nd STAGEに進出。2nd STAGEでは4名ずつに総当たり戦を行い、各ブロックから上位2名計8名を選出します。TOP8を4名ずつの2つのブロックに分け、総当たり戦を行い、各ブロックの1位2名と2位同士の直接対決で勝った1名、計3名がBEGINNING STAGEへ進出します。
BEGINNING STAGEは、オープントーナメントを勝ち上がった3名に招待選手15名(前大会本戦A・B・C各ブロック5~9位)を合わせた18名によるリーグ戦を行います。BLUE DIVISIONとRED DIVISIONのふたつのステージに各9名が配置され、総当たり戦を行います。各ステージの上位3名と4位同士の直接対決で勝利した1名、計7名がADVANCED STAGEへ進出します。
ADVANCED STAGEでは、BEGINNING STAGEを勝ち上がった7名に、招待選手11名(前大会本戦A・B・C各ブロック1~4位)を合わせた18名によるリーグ戦を行います。BLACK DIVISIONとWHITE DIVISIONのふたつのステージに各9名が配置され、各ステージの上位3名と4位同士の直接対決で勝利した7名がFINAL STAGEへ進出します。
FINAL STAGEへ進出したのは以下の通り。
- 翔選手(WHITE DIVISION 1位通過)
- ヤマグチ選手(WHITE DIVISION3位通過)
- 鶏めし選手(WHITE DIVISION2位通過)
- ふ~ど選手(BLACK DIVISION1位通過)
- ボンちゃん選手(BLACK DIVISION2位通過)
- もけ選手(BLACK DIVISION3位通過)
- ひびき選手(EXTRA ROUND勝利)







QUALFYING ROUNDを勝ち抜いたのは、Jr.選手、ヤナイ選手、おわえちゃん(Seiya)選手の3名。BEGINNING STAGEを勝ち抜いたのは、Jr.選手、あくたがわ選手、ヤマグチ選手、鶏めし選手、ひぐち選手、ボンちゃん選手、おわえちゃん(Seiya)選手の7名でした。
QUALFYING ROUNDからFINAL STAGEへ進出した選手は残念ながらいませんでしたが、Jr,選手とおわえちゃん(Seiya)選手はADVANCED STAGEまで進出しています。BEGINNING STAGEからFINAL STAGEまで勝ち上がったのは、ヤマグチ選手と鶏めし選手とボンちゃん選手の3選手でした。ステージが上がる度に、強豪選手が追加されるシステムで下のステージから勝ち上がるのは至難の業で、上位招待枠を持っているが重要であることがわかります。
FINAL STAGEの闘いを紹介
FINAL STAGEの結果からお伝えすると、優勝したのはふ~ど選手。BEGINNING STAGEから勝ち上がったヤマグチ選手と鶏めし選手との熾烈な三つ巴を制し、TOPANGAチャンピオンシップの前身であるTOPANGAリーグから数え、3度目の優勝を果たしました。ちなみに『ストIV』『ストV』『スト6』と、それぞれのナンバリングで優勝したのも初となります。

FINAL STAGEはTOPANGAチャンピオンシップの特徴である長期戦で行われます。7人が全員と対戦する総当たり戦で、1試合BO13(7勝先取)で行われます。6勝6敗になってからは、2連勝するか、先に10勝した選手の勝利となります。
順位を決める優先順位は、勝利数、直接対決、得失点差の順番になります。同じ勝利数であれば、直接対決で勝利した方の順位が上になり、同じ勝利数で直接対決も三つ巴になるような場合があればセットカウントの勝利数―敗北数のポイントの高い選手が上位となります。大会は3日間で行われ、すべての選手が1日に2試合行います。

Day1は鶏めし選手とヤマグチ選手が2勝無敗で一歩リードします。ヤマグチ選手は優勝候補であり、同門である翔選手との対戦で、10-9のフルセットの末、勝利を収めました。


Day2は鶏めし選手がふ~ど選手に、ヤマグチ選手がひびき選手に敗北し、3勝1敗となります。そこにDay2を連勝したふ~ど選手も3勝1敗となり、3人が勝利数で並びます。ただ、ふ~ど選手は鶏めし選手に勝利したことで、直接対決でも優位に立っているので、一気に優勝候補筆頭となりました。


Day3は3勝1敗同士のヤマグチ選手と鶏めし選手の直接対決に鶏めし選手が勝利します。これでヤマグチ選手は優勝争いから一歩後退します。また、ふ~ど選手は鶏めし選手に勝っているので、このままお互いに勝ち続けてもふ~ど選手の順位が上回るので、鶏めし選手にとっては他力本願となりました。残り2試合となったところ、鶏めし選手が翔選手に敗退。鶏めし選手はふ~ど選手の勝利数を超えられず、直接対決も負けているので自力での優勝がなくなり、最後の試合に託すことになります。ここで急浮上してきたのが、ひびき選手。Day1、Day2と1勝1敗で優勝戦線に関わってきていませんでしたが、Day3でボンちゃん選手ともけ選手に勝利し、4勝2敗でフィニッシュします。残り1戦はヤマグチ選手対ふ~ど選手の組み合わせとなります。ヤマグチ選手が勝利すれば、ふ~ど選手、鶏めし選手、ヤマグチ選手、ひびき選手が4勝2敗で並びます。もし、並んだ場合、ふ~ど選手は、ヤマグチ選手とひびき選手に負けており、鶏めし選手はふ~ど選手に負けています。ヤマグチ選手は鶏めし選手とひびき選手に負けており、ひびき選手は鶏めし選手負けています。4人の中でひとりにしか負けていないのは、鶏めし選手とひびき選手になり、ふたりの直接対決は鶏めし選手が勝っているので、鶏めし選手が優勝、ひびき選手が準優勝となります。4人中ふたりに負けているふ~ど選手とヤマグチ選手は、直接対決でヤマグチ選手が勝利しているので、ヤマグチ選手が3位、ふ~ど選手が4位になるわけです。最後の試合結果によっては、ふ~ど選手が1位か4位、鶏めし選手が1位か2位、ヤマグチ選手が3位か4位、ひびき選手が2位か3位となるわけです。三つ巴になることはこれまでもあったと思いますが、4人の勝利数が並び、直接対決の数で優勝が決まることになる可能性があるのは初めてではないでしょうか。



結果的に、その複雑な状況をふ~ど選手が勝利することで、単独1位が生まれ、すべてが杞憂に終わりました。


トッププロが口を揃えて長期戦こそ、実力が反映されると言っており、その長期戦を採用されているTOPANGAチャンピオンシップで優勝もしくは上位入賞することは、その実力を示せたと言っても過言ではないでしょう。その大会で3度の優勝、しかもすべて違うナンバリングでの優勝は、長期に渡って、ふ~ど選手がトップランナーとして走り続けている証拠と言えます。

準優勝の鶏めし選手にも注目です。絶対的に不利なキャラクターが存在すると言われるダルシムで準優勝、あと一歩で優勝となるところまで来たのは、ふ~ど選手と同様に実力を示せたのではないでしょうか。前回優勝のこばやん選手が使用するザンギエフも同様に不利となるキャラクターが居る中、優勝しています。その後のこばやん選手の実績を鑑みれば、こばやん選手もTOPANGAチャンピオンシップで実力を示せたと言えます。そして、同時にピーキーに見えるキャラクターでも優勝、準優勝を飾ることができるのは、戦いようによってはどのキャラクターでも行けなくもないということの証明、つまりはキャラクターのバランスが絶妙な状態にあるとも言えます。
次のステップへ踏み出した本大会
イベントとしても、エンタメ色が強いイベントが多い中、ストイックに競技性を突き詰めたイベントが有観客オフラインイベントとして成立したのも喜ばしいことです。いろいろな側面から、次のステップへ踏み出した大会だったと言えるでしょう。





(c)CAPCOM
撮影:志田彩香

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas