【ESPORTS WORLD CUP 2025】ストリートファイター6 本戦 Day1ウイナーズサイドレポート


EWC 2025『ストリートファイター6(スト6)』部門の本戦Day1はグループトーナメントのウイナーズサイドのみを行います。各グループの1回戦とウイナーズファイナルを行い、ウイナーズ抜けの1名を確定します。前回の記事で解説した通り、ウイナーズ抜けはいきなりTOP16の決勝トーナメントへ進出します。Day1で負けてもDay2のルーザーズサイドへ移行するので、即敗退とはなりませんが、ルーザーズサイドで抜けたとしても、Day3のフェーズ3に進出し、そこで勝ち抜けないと決勝トーナメントに進出できないので、Day1でウイナーズ抜けはかなり有利です。
各グループの結果
グループAは日本人選手のナリくん選手登場します。ナリくん選手のキンバリーに対して、AngryBird選手は豪鬼を出し、3-0で完勝します。ナリくん選手はDay2のルーザーズサイドでの勝ち抜けに賭けます。そのAngryBird選手はウイナーズファイナルでNoah The Prodhigy選手のルークに対してケンを出してきます。1セットを取られるものの危なげなく勝利し、TOP16へ進出を決めました。
グループBは12あるグループの中でも1、2を争う激戦グループです。初戦はももち選手とカワノ選手の日本人選手対決が発生しますが、カワノ選手が3-0でももち選手を下しました。ウイナーズファイナルでは2025年のEVOJ、EVOの覇者であるMenaRD選手。ももち選手に完勝したカワノ選手でしたが、MenaRD選手のブランカの前に1セットも取れず敗退です。
グループCはShuto選手がEndingWalker選手と対決。Shuto選手はマリーザを出し、先に1セット獲得します。しかし即座にEndingWalker選手が1セット取り返すと、Shuto選手は豪鬼にチェンジ。ここで切り替えたいところでしたが、そこから1セットも取れずに3-1でEndingWalker選手が勝利しました。ウイナーズファイナルは初戦でラシードミラーを勝ち抜いたDual Kevin選手とEndingWalker選手の対戦。Dual Kevin選手が追い詰める場面もありましたが、最終的には3-0でEndingWalker選手が勝ち抜けを決めました。
グループDは日本のキンバリー使いの松五郎選手が登場。初戦でJuicJoer選手を破りますが、ウイナーズファイナルでZhen選手に敗北します。Zhen選手は初戦で松五郎選手と同じキンバリー使いのPsycho選手をDeeJayで倒します。ウイナーズファイナルでもDeeJayを出してきますが、2連敗し、後がなくなったところでベガにスイッチ。ここから逆三タテを決めて、逆転でTOP16のチケットをゲットしました。
グループEは現地レポーターも死のグループと表現した超激戦区。EVOの優勝経験者が3人も居ます。初戦2試合目は、Xiaohai選手対Punk選手。お互いに一歩も引かずフルセットフルラウンドまで持ち込まれます。Xiaohai選手のSA3を喰らった後のPunk選手がフーリガンからの投げでCAをたたき込みます。勝ちを確信したPunk選手は席を立って喜びを表現しますが、Xiaohai選手の舞の体力はドット残り。急いで席に戻るPunk選手でしたが、すでに集中を切らしてしまったか、逆転でXiaohai選手が勝利しました。

ウイナーズファイナルはXiaohai選手のベガの前に翔選手のJPが倒されてしまいます。そこで翔選手はサガットにスイッチ。しかし、さらに1セット取られ、後が無い状態に。なんとか3セット目は取り返しますが、ここでXiaohai選手が舞にチェンジ。翔選手のコンボミスもあり、Xiaohai選手が勝ち抜けました。
グループFは全員が日本人選手です。ここまで日本人選手が決勝トーナメント進出を決めていませんが、このグループは確実に日本人選手が決勝トーナメントに進出します。初戦の1試合目は鶏めし選手対Jr.選手。本来の持ちキャラでは、Jr.選手のザンギエフが鶏めし選手のダルシムが大の苦手キャラ。そこで、ザンギエフの弱点キャラ対策としてベガを用意。大舞台でいきなり出してきます。しかし、Jr.ベガの練度が足りなかったか、鶏めし選手がベガの対策をしっかりしてきたか、鶏めし選手の一方的な展開で勝利となりました。ウイナーズファイナルは鶏めし選手対ガチくん選手。ガチくん選手のラシードはダルシムに取ってかなり不利な相手なうえ、ガチくん選手の魂のキャラ。練度の高さも段違いです。そんな状況でも鶏めし選手はしっかりとラシード対策を出し、フルセットの上、ガチくん選手を下します。これで鶏めし選手が日本人最初のTOP16への進出を決めました。

グループGはときど選手、ひかる選手、YHC-餅選手の3人の日本人選手がいます。初戦のひかる選手対ときど選手はフルセットフルラウンドまでもつれ込みます。ひかる選手が試合を支配しているように思えましたが、結果としてはときど選手が胆力をみせ、勝利しました。ウイナーズファイナルはときど選手対YHC-餅選手。この時点でこのグループも日本人選手の決勝トーナメントの行きが確定します。終始ゲームを支配していたYHC-餅選手が3-1で勝利しました。これで日本人選手のTOP16への進出がふたり目となりましたが、奇しくも鶏めし選手に続き、ダルシム使いがふたりが入りました。
グループHは日本人選手がGO1選手のみ。GO1選手はEWCの別タイトルの『餓狼伝説 City of the Wolves』で優勝しており、2タイトルでの優勝、ファイナリストを目指します。初戦はCAPCOM CUP11で大躍進したチリの若き戦士、Blaz選手。GO1選手に対して3連勝でウイナーズファイナルに向かいます。もうひとつの一回戦はBlaz選手と同じ、チリのCraime選手。年齢もBlaz選手のひとつ下の超若手です。対するPhenom選手。Craime選手は2連敗したところでケンにチェンジ。これが功を奏し、2セットを取り返します。さらにフルセットフルラウンドまで持ち込み、最後はインパクトが耐えられない体力からインパクトを出し、思わず返してしまったPhenom選手が逆転で敗北しました。ウイナーズファイナルはチリの若手同士の対決。キャラクターもリュウミラーとまさに同門対決。若手ながら一日の長があるBlaz選手が勝利し、決勝トーナメント行きを決めました。
グループIは板橋ザンギエフ選手が居ます。初戦のShine選手戦はキンバリー対策と立ち強パンチの当て感が冴えて3-0のストレート勝利。ウイナーズファイナルはNL選手対板橋ザンギエフ選手。板橋ザンギエフ選手の持ちキャラはザンギエフとマリーザですが、どちらもNL選手が使用する豪鬼に行けるキャラクター。そのうえで、板橋ザンギエフ選手はマリーザを選択します。マリーザの突進力と攻撃力を背景に、体力の少ない豪鬼を一気に追い詰めます。NL選手はマリーザの猛攻に為す術なく、敗退しました。これで日本人選手のTOP16入りは3人目です。

グループJは日本人選手がきんちょ選手とひぐち選手のふたり。それにSFLなど、日本でお馴染みのLeShar選手が居ます。初戦はきんちょ選手対LeShar選手。LeShar選手は舞とテリーが現在のメインキャラですが、きんちょ選手がテリー使いであり、ミラーマッチを避け、EDを選びます。きんちょ選手が1セット先取しますが、そこから対応したLeShar選手が逆三タテを決め、ウイナーズファイナルへ。LeShar選手の対戦相手は1回戦でVeggeyザンギエフを倒したひぐち選手。LeShar選手は試合をうまくコントロールし、ひぐち選手を完封し、3-0で勝利しました。
グループKはりゅうきち選手とふ~ど選手のふたりが居るグループです。りゅうきち選手は舞とケンを使ってDCQ選手のベガに対峙しますが、惜しくも敗退。ふ~ど選手はKusanagi選手のリュウをEDで沈めると、ウイナーズファイナルでもEDを選択します。早々に2セット連取したふ~ど選手に対して、DCQ選手はJPに切り替えます。キャラチェンジの効果が出て1セット取り返しますが、反撃もここまで。ふ~ど選手が即座に対応し、勝利しました。
Day1最後の組み合わせとなるグループLは、ぷげら選手とボンちゃん選手がいます。組み合わせの妙で1回戦でいきなりこのふたりが当たります。ボンちゃん選手といえば『ストIV』からのサガット使いですが、ここでピックしたのは豪鬼。それに対してぷげら選手が選択したのはサガットです。まさかのキャラ選択に驚きを隠せません。フルセットまでもつれ込みますが最後はボンちゃん選手が一気に攻め立て、ウイナーズファイナルに進出を決めます。ウイナーズファイナルでボンちゃん選手を待ち受けるのは、EVOで彗星の如く現れた新進気鋭のMicky選手。幸先良く1セット目を取るMicky選手でしたが、徐々にボンちゃん選手が対応します。2、3セット目はフルラウンドでギリギリの戦いが続きます。最後はボンちゃん選手の勝負強さを見せて勝利しました。
12グループのすべての試合が終わり、ウイナーズ抜けをした日本人選手は、鶏めし選手、YHC-餅選手、板橋ザンギエフ選手、ふ~ど選手、ボンちゃん選手の5名です。
Day2はフェーズ1でルーザーズサイドに移行したそれぞれのグループの3選手による試合が展開されます。
EWC 2025 スト6日本語実況(Capcom Fighters JP)
(c)CAPCOM

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas