主催・SHAKAさんへのインタビューも。Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER6 師弟杯~2025 冬 後楽園の陣~【現地レポート】
2026年1月28・29日に後楽園ホールにて『ストリートファイター6(スト6)』のイベント「Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER6 師弟杯~2025 冬 後楽園の陣~」が開催されました。

LEGENDUSはストリーマーのSHAKAさんが主催する『スト6』イベントで、師弟杯、頂、最強道場決定戦などが開催されています。師弟杯は今回で三回目となり、初回はオンラインで開催し、2回目からは後楽園ホールでオフラインイベントとして行われています。
師弟杯2025冬は前回大会同様に師弟関係にあるプロゲーマーとストリーマーによるタッグで戦いますが、前回までの同一キャラではなく、師匠と弟子が違うキャラクターでも参戦できるようになっています。今回参加したのは以下の8組です。
- 葛川旅団:葛葉(C豪鬼)・カワノ(C豪鬼)
- さいきょうのふたり:sasatikk(Cサガット)・なるお(Cジェイミー・Cリュウ)
- 4255:SHAKA(Cマノン)・あくたがわ(Cマノン)
- アラビアンボーイズ:渋谷ハル(Cラシード)・ガチくん(Cラシード)
- 電電悪漢星(ビリビリギャングスタ-):わいわい(Cブランカ)・高木(Cブランカ)
- 釈迦奪還:よしなま(Mルーク)・立川(Cマノン)
- ナウゼロアンチクラブ:Zerost(C舞)・ナウマン(C舞)
- 最強の署名:ファン太(Cベガ)・どぐら(Cベガ)

オフライン本戦の前にオンラインで予選があり、予選順位の上位チームから対戦相手とブロックの指名ができる方式が採用されました。
決勝トーナメントはダブルエリミネーション方式で行われます。まず弟子同士がBO3(2本先取)で対戦し、次に師匠同士がBO3で対戦します。2連勝した場合は勝ち抜けで、1勝1敗となった場合は弟子同士のBO1による延長戦で決着します。勝敗の比重としては弟子の方が重くなるレギュレーションです。
Day1はウイナーズブラケットだけを行います。グランドファイナルに進出したのは、SHAKA・あくたがわペアの4255。初戦の釈迦奪還、2回戦のアラビアンボーイズ、ウイナーズファイナルの葛川旅団を倒し、無敗でDay2を迎えます。
Day2はグランドファイナルで待つ4255の挑戦者を決めるルーザーズブラケットです。すでに全チームが1度負けているので、ルーザーズブラケットでの敗北は、大会からの敗退が決定します。1回戦でさいきょうのふたりと最強の署名が敗退し、2回戦で電電悪漢星とナウゼロアンチクラブが敗退します。3回戦で釈迦奪還を下し、ルーザーズファイナルではアラビアンボーイズと葛川旅団の対決となり、葛川旅団が勝利し、4255への挑戦権を得ました。

決勝戦は4255と葛川旅団の対決。ウイナーズブラケットでグランドファイナルを決めている4255は1度負けてもまだ敗退とならないので、葛川旅団は2回連続で勝利する必要があります。
弟子対決で葛葉豪鬼がSHAKAマノンをストレートで倒すも、師匠対決であくたがわマノンがカワノ豪鬼を倒し、イーブンに戻します。勝敗は最後の弟子対決に委ねられましたが、SHAKAマノンがBO1を勝ちきり、逆転で優勝を決めました。

師弟杯は最終的には弟子の結果に左右されるところがあり、前回大会では延長戦が3回発生した中、初戦の弟子戦の結果を覆したのは1試合のみでした。今回は、延長戦が4回発生しましたが、弟子戦を取り返した試合は3回ありました。それだけ弟子の実力が拮抗していたと言えます。特にSHAKAさんは葛葉さんに2回とも初戦は2-0で負けていたところからの逆転。師弟杯の醍醐味を主催者自ら体現した形となりました。表彰式ではSHAKAさん本人が優勝した場合、師弟杯は今後やらないと言っていたことに対して、今後も続けることを発表。出場選手も観客も大いに湧きだっていました。
前回に引き続き、現地での取材することができましたが、後楽園ホールの魅力は前回同様に存分に発揮されていました。大きすぎないサイズ感の会場は、応援の声が響き渡り、自らの声で奮い立たされます。階段状の座席もリングが見やすく、飲食ができるところも観戦体験を高めていました。ラウンドガールの存在も試合に彩りを添えるのではなく、試合と試合の間の準備時間のコンテンツとして、観客を飽きさせません。


配信も工夫がされており、前回の取材記事でも書きましたが、勝ち確が決まった状態でゲームの画面から選手の画面に切り替わり、勝利した喜びをダイレクトに伝える秀逸な仕掛けです。
クリエイティブな部分にもさまざまな工夫と手間がかけられていました。各チームにレトロ映画風ポスターが用意され、入場までの待機時間も観客に飽きさせないようにしていました。優勝を称える銀テープふぶきの銀テープには、LEGENDUS 師弟杯のロゴがプリントされており、それ自体が記念品として持ち帰れるアイテムとして存在しています。チケットは電子チケットでの販売でしたが、入場時には紙のチケットが手渡されていました。物理的に記念としてチケットを残したい人は少なからずいるので、こういった配慮もファンとしては嬉しいところです。



会場ではグッズ販売が行われていませんでしたが、イベント前にオンラインでの販売は行われていました。先んじてグッズを獲得し、家から装備して来場できるわけです。観客からしてみれば、会場の物販エリアで長蛇の列を並ぶ必要がなく、会場入りが遅くなったために売り切れで涙を飲むこともありません。運営としても狭めの後楽園ホールで物販エリアのスペースやスタッフを割く必要もありません。
大会内容だけでなく、運営のホスピタリティの高さもトップレベルのeスポーツイベントだと言えるでしょう。
大会を終えて主催者であるSHAKAさんに今回の師弟杯の感想を聞いてきました。
――今回で3回目となる師弟杯ですが率直な感想をお聞かせください
SHAKA:今回は、前回、前々回を踏まえて、良いところをミックスしながら新しい形式も導入していきました。第1回が8チームでやって、第2回が10チームでやって。どちらも1日で開催したんですけど、第2回は人数も増えたうえ、トーナメントが複雑になってしまったこともあり、今回は8チームに戻しました。さらに2日間の開催とし、トーナメントもダブルエリミネーション方式を取り入れました。これまでの方式だと一応、予選があるのですが、オフラインでは1回負けたら終わりっていうのがちょっと参加する方にも、応援する方にも物足りない部分もあるかなって。1回で敗退してしまう重みっていうのも良いんですけど、今回はダブルエリミネーション方式を採用しました。これは自分的には凄く良かったと思っています。
師弟杯って団体戦の形となっていますが、やはり弟子の実力によって一方的になってしまう展開もあったんですよね。弟子が負けて、師匠がなんとか取り返しても、延長戦でやっぱり弟子で負けてしまうような。今回は実力がかなり拮抗していて、最後までどちらが勝つか分からない感じでした。私もそうだったんですけど、弟子戦で負けて、延長戦で勝つような展開ですね。

――2回やって弟子のどちらが勝つかわからない展開だと、師匠の勝敗もより重要度が増してきますね
SHAKA:そうですね、そういう意味では本当の意味で師弟杯として成立した感じがします。結果としても下馬評だとZerostが一番『スト6』を理解していて、優勝するかと思われていました。前回も2位だったので、その実力が発揮されると思ったんですけど、決勝に到達する前に負けてしまっていて。試合単位でも大会全体でも予想外の展開になっていて、それは良いことなんじゃないかなと思います。
――師弟杯は前回から後楽園ホールを使い、その大会がものすごく良くできていて、すでに師弟杯が後楽園ホールのイメージが付くほどでしたが、やはり、そういったことも含めて今回も後楽園ホールを選んだのでしょうか
SHAKA:最初は格闘ゲームだから格闘技の聖地の後楽園ホールがマッチしているよね的な気持ちで選ばせていただいたんですが、実際に後楽園ホールで大会をやってみたら、独特の雰囲気や空気感があって、会場の熱気の伝わりやすさもありました。スタッフの多くもそう感じていて、後楽園ホールでイベントをやる意味を感じています。
――後楽園ホールの収容人数では納まらないくらいの観戦希望者が出て、プラチナチケット化しても師弟杯は後楽園ホールを使ってほしいという気にもなりますね
SHAKA:そうなんですよ、後楽園ホールのスケジュールにあわせて師弟杯の日程も決めました。他も検討しなかったわけではないんですが、最終的には後楽園ホールでやろうとなりました。今後、後楽園ホールの収容人数以上の観戦者が出るということがあるかどうかはわからないですけど、仮にそうなったとしてもなんらかの形で後楽園ホールでやりたいなって気持ちはあります。
――この会場にくるとボクシングやプロレスが盛り上がるということがわかりますね。自分たちの歓声がさらに高揚感を高めてくれる。これは現場に来て初めて理解できると思います
SHAKA:実際、選手視点でもお客さんの声がすごく聞こえてくるんで、テンションは上がりますね。なんていうか、出場している選手も楽しいと思うんです。おっしゃったように声をあげたら、周りからそれ以上の大きい声がきこえて。たぶん、初めてイベントに来た人って、声が出しにくい部分ってあると思うんですよね。でも、自然と声が出てしまう環境なんですよ。後楽園ホールってそういう場所なんだなって思います。
――今回はSHAKAさんの師匠はあくたがわ選手でした。あくたがわ選手はLEGENDUS頂で優勝し、もはやLEGENDUSの申し子という印象ですね
SHAKA:あくたがわさんは、『SFV』はやっていなかったみたいなんですけど、『ストIV』時代から活躍していたプレイヤーで、LEGENDUS以前にも知っている方は多かったと思います。一緒にプレイしていて格闘ゲームがすごく好きなことが感じてとれます。頂の時もすごく場慣れしていて、独特の雰囲気がありますよね。配信者にも、プロゲーマーにもない独特の雰囲気があります。
――高木選手も前回の師弟杯では、プロゲーマーでもなく、ストリーマーとして師匠枠に入るという状態で、プロとは一線を引いた状態でしたが、今回は立派にプロゲーマーとしての佇まいもありました。彼もLEGENDUSを通じて大きく成長したひとりですね。
SHAKA:プロゲーマーとストリーマーのちょうど中間のような位置でしたね。彼の成長も師弟杯の中で生まれたストーリーですね。前回大会で高木を入れたのは、私としても挑戦だったんです。一方的に倒されてしまってもイベントとして難しいところですし、その結果は本人としても辛いだけかなって思っていました。そういった状況を乗り越えて1年経過して、今やもうプロ選手として存在していました。前回は1回も勝てませんでしたが、今回は1勝しましたし。本当に高木の勇気の前ステップには今は本当に感謝しています。

――大会では高木選手からナウマン選手への煽りからリスクマッチに展開したりと、選手同士、ともすればチーム内での煽り合いまでありました。あれも師弟杯の昂揚したあの場で起こりえたことかなと感じましたが
SHAKA:元々、こういうことをやろうみたいなことはまったくなく、ステージに上がってしまうと自然にそんな流れになってしまっているんですよね。それは会場の雰囲気だったり、ステージから見える景色だったり、いろんな要素が重なってああいう感じになったんでしょうね。これは本当に良い効果だと思います。
――では今後の師弟杯についてお聞かせください
SHAKA:やはり師弟杯は続けていきたいと思いました。今は終わったばかりで満足しているんですけど、おそらく時間が経ってみれば、もっとできたことがあったなぁという気持ちが芽生えてきて、もっと良いものにしていきたいと思うかと。特に今回、悔しい思いをした人にとって、何かしらイベントに反映できるようにして、観戦している人たちにももっと良いものにしていきたいと思います。
(c)CAPCOM
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas