

2024年4月9日、韓国・ソウルにて開催されている『VALORANT』のインターナショナルリーグ「VALORANT Champions Tour 2024 Pacific Stage 1」(以下、VCT Pacific Stage 1)にて、日本チーム「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)の初戦が行われました。
この日の試合で「DFM」は、韓国チーム「T1」と対戦。マップ1のアセントでは、「DFM」が後半の守りで追い上げて13-10で勝利するも、マップ2のロータスでは「T1」にリードされる展開となり、5-13で敗北しました。そして、マップ3のサンセットでは、接戦がくり広げられるなか「DFM」が13-11で勝ち切り、マップカウント2-1で勝利を手にしました。
昨年のインターナショナルリーグ参入から、勝ち星のない苦しい状況が続いていた「DFM」。厳しい戦いになることが予想された強豪チーム「T1」を相手に、念願の初勝利を挙げました。
記事では、試合直後に「DFM」Melofoviaコーチに行った単独インタビューの内容をお届けします。また、Anthem選手とAstellコーチが参加した合同インタビューの内容も合わせて掲載しています。

■試合結果
DFM [2-1] T1
マップ1:13-10(アセント)
マップ2:5-13(ロータス)
マップ3:13-11(サンセット)
試行錯誤が続いた去年から、今年の「DFM」はどう変化した?
「T1」との初戦を終えた直後、「DFM」Melofoviaコーチへの単独インタビューを行いました。メンバーやコーチなど、さまざまな体制変更を経てStage 1に挑んだ「DFM」。勝利を挙げられず試行錯誤が続いた去年と比べ、今年の「DFM」はどう変化したのかなどについて聞きました。

――勝利おめでとうございます! 今日の試合を終えての感想をお願いします。
Melofovia:ありがとうございます。みんな本番頑張ってくれたなっていうのと、もっと練習でも頑張れるよなと思いました(笑)。みんな本番のほうが強いです。
――会場では「DFM」の勝利を見て泣いているファンもいましたが、見ましたか?
Melofovia:見ました。あとAnthemってやつが泣いてたんで(笑)。嬉しい限りです。
――去年は試行錯誤の苦しい期間が続いたと思いますが、今年はStage 1初戦での勝利となりました。チームとしての変化を一番感じるのはどんなところですか?
Melofovia:チームでの問題解決能力が上がったかなと思いますね。
――それはコーチを含む体制の変化からですか?
Melofovia:それもありますし、選手自身がよりそういうマインドを持ってチーム活動に臨めています。後回しになっていることが少なくなって、みんなでゲームのこともそれ以外のことも、話し合って解決することが増えました。これはメンバーも話していたので言うんですけど、昨日めちゃくちゃ大喧嘩して。
――昨日のことだったんですか!?
Melofovia:それで3~4時間くらいみんなで話して、相手には本当に申し訳ないんですけど、大会前日のスクリムを2枠も飛ばしちゃって……。そういうこともありながら、やっぱり僕らは常に尻に火がついている状態なので、みんな意識を持って前を向いてやってくれていると思います。
――今の「DFM」はメンバー的に、選手もコーチも完全に日本語でのコミュニケーションに統一しているのかなと思いますが、そのあたりはいかがですか?
Melofovia:それは以前からそうなんですけど、今の韓国人メンバーで言うと、コーチのAstellとNorthernLights、選手のMedusaは、全員ほぼ日本人レベルで日本語が堪能なので、日本語でコミュニケーションしています。
しいて言えば、去年は途中までHSKコーチがいて、そのときは通訳も交えて会話していました。ただ、選手は日本語が堪能だったので、ゲーム内のコミュニケーションでも、言語の問題は特になかったと思っています。
――「VCT Pacific Kickoff」(以下、 Kickoff)の直前にあった体制変更は、言語の問題が大きかったのかと思いましたが、そうではないのでしょうか?
Melofovia:今年のメンバー変更に関しても、別に言語の問題ではなくて、抽象的な表現になりますが、勝ちを目指していくうえで、自分たちにとって最善の形を話し合って決めた決断でした。ただ、JoxJoとSuggestの脱退は、本当に自分にとってつらい選択でした。
なかでも、特にSuggestとは初期のころからずっとHSKと一緒にやってきていたし、僕としてはまだ一緒にやりたい気持ちがあったので、名残り惜しかったです。
「選手が必要としてくれるなら――」Melofoviaコーチ継続の意志
――コーチもいろいろな体制変更があり、今はヘッドコーチをAstellさんが務めていますよね。
Melofovia:そうですね。去年の終盤は僕がヘッドコーチだったんですけど、今年の最初はXrayNコーチで、そこから変わって今はAstellです。
――現在、Melofoviaさんがどんな役割を担っているか教えていただけますか?
Melofovia:3人コーチがいるので、3人それぞれに役割分担しています。僕の役割としては、選手の個人フィードバックが多いですね。今回だったら、例えばnethがロールを変えてセンチネルをやっているので、その細かいアビリティの使い方を教えたりとか。
細かいアビリティの使い方のほかにも、立ち位置やアングルの管理など、選手たちの個々のプレイや細かい作戦の部分を見ています。あと、それこそ昨日みたいな大喧嘩があったら、割って入ったりですかね(笑)。
――なるほど(笑)。Stage 1からは、コーチ席に2人座っていますよね。試合中やタイムアウトのコミュニケーションなどに変化はありましたか?
Melofovia:以前も今も変わらず、控え室にいるコーチとも話せるんですよ。それが、今は控え室にいるコーチにプラスして、Astellが横にいる形になったので、タイムアウトの相談もやりやすくて、全体的にいい仕様になったなと思います。
以前HSKコーチがいたときは、控え室にいるHSKコーチが言ったことを、僕がタイムアウトの60秒でどう伝えるか考えて話すことが多かったです。それに加えて、選手の落ち着きが足りなかったら、「1回深呼吸しよう」みたいなことを言ったりしていましたね。

――去年の厳しい結果から、今年もMelofoviaさんがコーチを継続することに批判的な声もありました。でも、チームでどんな意志や判断があったか、私たちには見えないところがたくさんあります。この場を使って何か伝えたいことはありますか?
Melofovia:うまくやれば普通の仕事以上に「よくやった」と言われるし、悪ければ普通の仕事以上にいろいろ言われるのが、この仕事だと思っているので。僕は選手が必要としてくれるなら、やりたいしやるという感じですね。そうでなかったら辞めます。
――海外チームでよく聞くような、結果が出なかったからコーチ解任という、単純な判断にはならなかったということですよね。
Melofovia:去年の負けについて、僕が悪くなかったとはみじんも思っていません。いろんな要因があって負けて、もちろん僕も悪かった。ただ、やっぱり日本ではまだ経験が少ないコーチが多いですよね。そういうなかで、今年も継続するというチームの意志があった。なので、チームに対して自分がマイナスじゃないのであれば、しっかり仕事をしたいと思っています。
――ありがとうございます。それでは最後に、Stage 1にかける思いや意気込み、そして応援してくださるファンの方へのメッセージをお願いします。
Melofovia:この1勝で勢いに乗っていきたいですが、甘んじることなくやっていきたいですね。僕たちはこれが始まりだと思っているので、自分たちがやるべきことを毎日しっかりと積み重ねて、一日一日を大切に頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。
――Melofoviaコーチ、ありがとうございました!
Anthem選手&Astellコーチの合同インタビューをお届け
試合後には、単独インタビューのほかに、海外メディアを含めた合同インタビューも実施されました。合同インタビューに参加したAnthem選手とAstellコーチへの質問と、その回答を掲載します。

――今日の試合を終えての感想をお願いします。
Astell:「T1」はKickoffでもいい成績を残しているし、私としてはリスペクトしているチームです。でも、最近チームの調子が上がってきていて、今日は勝てるんじゃないかと思って挑んだので、勝てて嬉しいです。
Anthem:「T1」相手に2-1で、タフな試合をしながらも勝てたことを本当に嬉しく思っています。去年0勝を経験しているので、やっと勝てたなというのが本音で、次につながるようにこのまま勢いに乗っていきたいと思います。
――アセントのディフェンダーサイドでは逆転を見せましたが、それにはどのような戦術や戦略がありましたか?
Anthem:コンピューターと戦っているわけではないので、相手がどういう感情でゲームをしているのか、自分たちの構成に対してどういうプレイングをしてくるのかを考えながら戦いました。
――去年のロスターと比べて、今シーズンはどういったところが変わっているでしょうか。また、今日の勝利を上げるためにチームとして何が必要でしたか?
Anthem:大きく変わったのはコミュニケーション面で、去年は日本人3人、韓国人2人でやっていたり、ロスター6人でまわしたり、いろんな不安定要素がありました。今年はよりコミュニケーションが円滑になったし、みんな『VALORANT』が好きでたくさん練習しているし、ハングリーな気持ちが勝利につながったのかなと思います。
――Anthem選手は唯一、昨年の0勝を経験したメンバーですが、本日の勝利は改めていかがでしたか?
Anthem:やっぱり1年間勝てなかったという事実があって、やっと今日2年目にして1勝を上げることができて、本当に嬉しいです。この1勝だけにならないよう、もっと頑張ろうと思います。
――Kickoffの試合後、配信のインタビューでMeiy選手が「ビビらず、もっと自信を持ってプレイしていきたい」といったお話をされていました。今回はチーム全体でどれくらい自信を持ったプレイができていた感覚があるか、試合中のチームの雰囲気なども教えて下さい。
Anthem:実際みんな今日はリラックスしてできていたかというと、もっとリラックスできる部分はあったと思います。自分たちがやってることに対して、もっと自信を持ってやれた部分もあるのかなと感じます。
雰囲気自体は全然悪くなかったですが、初戦かつ「T1」相手ということもあったので、緊張していたり硬くなっていたりした部分はあったかなと思います。
――次の試合は「Gen.G Esports」(以下、Gen.G)が相手ですが、どんな戦略が鍵になると思いますか?
Astell:「Gen.G」の試合を見ましたが、本当にスタイルがわからなくて、テンポが早いときは本当に早いし、ゆっくりのときはゆっくりできる。いろんなことができるチームだと思っています。
「Gen.G」は撃ち合いが強いですが、最近の「DFM」も強いです。さらに、もともとIGLのAnthem選手はスローテンポな戦い方が得意だったのですが、最近はテンポアップして、早めの動きもできるようになっています。マップごとの対策をちゃんとしていれば、勝てるのではないかと思っています。
グループステージWeek1終了、Group Omega全チームが勝利獲得
「VCT Pacific Stage 1」では、4月6日~29日にかけてグループステージ、5月3日~12日にかけてプレイオフが行われます。グループステージでは、各グループの上位3チームがプレイオフに進出。プレイオフトーナメントを勝ち抜いた3チームが、「Masters Shanghai」への出場権を手にします。
日本チームの「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)と「DFM」は、ともにGroup Omegaに属しており、まずはGroup Omegaの6チームのうち上位3チームに入ることを目指します。Week1が終了した時点で、Group Omegaでは全チームが勝利を獲得し、拮抗したランキング状況となっています。

プレイオフ進出には、グループ上位3チームに入ることに加えて、最低2勝していることが条件に加わりました。もし2勝を達成しておらず、もう1つのグループに2勝以上しているチームがあった場合は、そのチームが代わりにプレイオフに進出します。そのため、Group Omegaからより多くのチームがプレイオフに進出する可能性もあります。
日本チームの試合スケジュールは下記のとおり。「DFM」の次戦は4月15日(月)、国際大会「Masters Madrid」で準優勝を果たした韓国チーム「Gen.G」との対戦です。なお、「ZETA」の次戦は4月14日(日)、「Team Secret」との対戦が控えています。
■「DFM」グループステージ試合スケジュール
・4月 9日(火):vs「T1」(2-1で勝利)
・4月15日(月):vs「Gen.G」
・4月20日(土):vs「Bleed Esports」
・4月23日(火):vs「Team Secret」
・4月27日(土):vs「Global Esports」
■「ZETA」グループステージ試合スケジュール
・4月 6日(土):vs「Global Esports」(2-1で勝利)
・4月14日(日):vs「Team Secret」
・4月16日(火):vs「Bleed Esports」
・4月22日(月):vs「Gen.G」
・4月28日(日):vs「T1」



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