2024年7月28日、東京都の有明GYM-EXにて、『VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2024 Split 2」のPlayoff Finals Day2グランドファイナルが開催されました。
Day1のロワーファイナルでは、「Sengoku Gaming」と「FENNEL」が対戦し、この戦いをマップカウント3-1で制した「FENNEL」がグランドファイナルへ進出。Day2のグランドファイナルでは、「RIDDLE ORDER」(以下、RIDDLE)と「FENNEL」が、Split 2の優勝をかけて戦いました。
グランドファイナルでは、「FENNEL」が2マップを連取し、先に優勝への王手をかけましたが、「RIDDLE」が劇的な巻き返しでリバーススイープを決め、マップカウント3-2で優勝を果たしました。
優勝した「RIDDLE」は、今年9月に東京にて開催される国際大会「VCT Ascension Pacific Tokyo」に出場します。記事では、グランドファイナル終了直後に行われたプレスカンファレンスでの「RIDDLE」のインタビューと、会場レポートをお届けします。
■Day2グランドファイナル試合結果
RIDDLE [3-2] FENNEL
マップ1:8-13(ヘイヴン)
マップ2:8-13(サンセット)
マップ3:13-11(バインド)
マップ4:14-12(アセント)
マップ5:13-9(アイスボックス)
ミスピックのトラブルから気持ちを切り替え、逆転優勝へ
――見事Split 2の優勝を果たしました。試合を終えての感想と、今日の試合を振り返ってのコメントを1人ずつお願いします。
Aace:今日の試合は、最初の2マップは微妙な感じで始まったんですが、3マップ目のハーフくらいから一気に巻き返せたので、嬉しかったです。今日は本当に楽しかったです。
Caedye:ミスピックがあった1マップ目で負けてしまって、少し気分が落ちていた部分もあったんですけど、チームメンバーがみんな鼓舞してくれて「やってやるぞ」という気持ちでできて、本当に良かったです。
JoxJo:1マップ目と2マップ目を落として、今日ちょっと運が良くないなと思った瞬間がありました。でも、そのとき僕らの強みは何かと考えて、「今までやってきた、今まで僕らが強かったのは、このスタイルじゃない。個人プレイだけじゃなくて、チームプレイから自分のプレイまで集中しよう」と話しました。
ただ、2マップ目は大会なので緊張したり、いろんな理由で良くありませんでしたが、「この3マップ目勝てたら、最後までいけると思うよ」と言って、そこからみんな頑張って勝てたので本当に嬉しいです。
Seoldam:良くない流れで2マップ目まで落としてしまったんですが、そこからみんな一人ひとりが声を出して、一人ひとりがキャリーしていました。優勝まで来るのは難しいかなと思っていたんですが、全員が頑張って優勝できて本当に良かったです。
yatsuka:最初、自信があったヘイヴンを落としてしまって、苦しい敗北になりました。2マップ目もそれを引きずってしまって負けた部分もあったんですけど、3マップ目は味方の「俺らはここからでも勝てるよ」というコールで、みんな息を吹き返したように頑張れたので、それが良かったです。
Vorzコーチ:さっきJoxJoも言っていたんですけど、「今日は運がないな、どうすれば勝てるかな……」と2人で話していたシーンもあったりして。負けるかもと思ったとは言いたくないんですが、正直そんなメンタルになったときもあって、本当に勝ちきれて良かったです。
今日の最初のトラブルは半分くらいは自分にも責任があるので、勝ったから言えるんですけど、こういう大事な時こそ気を引き締めないといけないなと思いました。良い経験になりました。次は絶対やらないです(笑)。
追い込まれてからの逆転、流れを変えた3マップ目の戦い
――本日の試合では、チーム全体もしくは個人として緊張はありましたか?
JoxJo:僕はそんなに緊張しないタイプです。ただ、みんなは結構緊張していました。それが1~2マップ目で出ていて、これは怒らなければと思って、2マップ目が終わった後に強く言いました。
――Aace選手は、3マップ目のバインドで文字通り運命を変えるようなクラッチを見せました。そのときの気持ちを教えてください。
Aace:あのときは、敵が自分のことをAショートにいると思っていたと思うので、「これは勝てるな」と思って、当然のように勝ったという感じです。
――2キル目は決め撃ちだったんですか?
Aace:そうだったと思います。ランプに敵がいると思って、フリックする時に木箱を撃ったらたまたま敵を倒せて、「え、何でだろ?」と思って、それで勝ちました(笑)。
――3マップ目のバインドでは追い込まれてからの逆転でしたが、それまでのチームとしての雰囲気はどうでしたか?
JoxJo:3マップ目が始まる前に、「バインドを勝てばなんとかなると思うし、俺らに流れが来てると思う。3マップ目で勝てば絶対勝てるよ」と話しました。実際にバインドで勝って流れが変わったし、自分たちの強みを出せたので勝てたと思います。
――今日は5マップにわたる試合のうち、後半からペースをつかんでいったように見えましたが、何か要因があれば教えてください。
Vorzコーチ:ラウンドが結構取れてきたタイミングでテックポーズがあって、自分たちはMain Stageでもテックポーズになることが多くて(笑)。「またか……」とみんなイライラしてしまったりしたんですが、イライラしていても勝てないので、冷静になってネガティブな話をやめて、ポジティブな話をしようと声をかけました。
ハグしたり円陣もしたりして、もう「やるしかねぇ」という感じで、みんなの心が決まった瞬間でした。あとは、Aaceが「俺これいけるわ、ゲームわかったわ! 俺とJoxJoに任せて!」と言って、試合中のコールもすごく頑張ってくれて。なんか来てるらしいです今(笑)。ぜひインタビューしてあげてください。
――ではAace選手、ぜひそのときのエピソードを教えてください。
Aace:「気づいた」って言ったのは、何も気づいてなくて(笑)。いつもスクリムのときに、JoxJoとかが「待って、ロジックわかった」と勝てるときに言っているんです。
それで、みんな雰囲気が落ち込んでいたので、元気を出すために「これわかったわ」といったん嘘をついて(笑)、とにかく話して指示するようにしただけです。そしたら勝てたので、やっぱりコールが大事なんだなと実感しました。
――今回のテックポーズは一度控え室に戻るくらいの長い時間でしたが、試合への影響はどれくらいあったと思いますか?
Vorzコーチ:今日は1マップ目のトラブルもあったせいで、いつも以上にヤバいかなとは感じてました。結局オフライン大会は、最後は技術よりもメンタルのほうが大事な状況もあるので、選手たちの顔や発言から、ちょっと効いてるなと思いましたね。それがテックポーズというか、さっき言った一連の流れで切り変わったのかなと思います。
――4マップ目のアセントでは0-5のビハインドと苦しい展開でしたが、タイムアウト後から怒涛の追い上げを見せました。あの場面では、どういった切り替えを行ったのでしょうか?
Vorzコーチ:なんて言ったっけ……。メンタルって言ってた? そうだ、アセントはデフォルトからの戦いになるので、基礎的な話をしました。というのと、あのときあたりから選手たちがノッていて、タイムアウト中に自分が話す時間がないくらい、みんなで会話していたので、実はあまり話していなかったかもしれないです。
強敵「FENNEL」を倒し、次なるAscensionでの戦いに挑む
――JoxJo選手という優勝請負人で最強のIGLが加入し、Vorzコーチの目線でどのような恩恵を受けたか、何がすごいのかについて教えてください。
Vorzコーチ:まずは皆さんも知っている通り、IGLがめちゃくちゃすごいです。あとは、技術的な面などいろいろあるんですが、若い選手たちがプレイしやすい環境づくりですね。100%ではないかもしれませんが、良いことも悪いことも含めて、若い選手がのびのびとできる雰囲気づくり、ポテンシャルを発揮できる取り組み方をしてくれています。
特に試合中は選手5人でしか話せないので、そういったところが自分としては一番リスペクトしていますし、チームとして変わった点、成長した点だと思います。
――特にSplit 2では、Seoldam選手らしい活き活きとしたプレイが見られるようになりました。「RIDDLE」に入って、自分の中で成長したと感じる部分はありますか?
Seoldam:自分がデュエリストになったのは、JoxJo選手が「デュエリストに向いてる」と言ってくれたからです。Split 1は、自分がIGLをしながらイニシエーターをやっていたんですが、Split 2からJoxJo選手が入って、僕をデュエリストに変えてくれました。
みんなも自分のことを信じてくれているし、僕もやりたいことがあったらコールしたり、自信を持ってやれるようになって、本当に良かったと思います。
――試合に勝利した後、「FENNEL」の選手たちと健闘を称え合うシーンがありました。そのとき、JoxJo選手は元チームメイトとどんな会話をされていましたか?
JoxJo:試合が終わった後なので、「お疲れ」とか「強かったね」とか、「お前の分まで頑張る」とか、そんな感じで話しました。
最初から、「FENNEL」と決勝で戦いたいと思っていました。結局「FENNEL」にオフラインで勝てないと、Ascensionも絶対に優勝できないので。「FENNEL」に上がってきてほしいと思っていたし、「FENNEL」に勝ってAscensionに行くために頑張るしかないと思っていました。
――やはり「FENNEL」は強かったですか?
JoxJo:オフラインでの落ち着きがすごくて、チームとしての動きができていたので、1マップ目と2マップ目で負けた要因はそこだと思います。さすがに強かったです。
――Ascensionへの出場が決まりましたが、注目するチームや選手はいますか?
Vorzコーチ:ほとんど試合を見ていなくて、実はあまり知らないんですけど、タイの「FULL SENSE」というチーム。昔、負けたことがあって。あと、「Disguised」という、「Bleed Esports」にいたjuicy選手をはじめとする、若い選手が集まっているチームですね。
――Ascensionでは、どのような展開を目指していきたいですか?
Vorzコーチ:Ascensionでは、試合ごとにそれぞれの選手たちが仕事してキャリーして、優勝したいです。
――皆さん、ありがとうございました!
最後の最後まで選手を信じるファンたちの胸を打つ声援
Day2のグランドファイナルは、「FENNEL」のストレート勝利もあるかと思われたところから、5マップ目に突入する大熱戦となりました。5マップにわたって、客席からはステージに向けて割れんばかりの声援が送られていましたが、最終マップでの熱のこもった凄まじい声援には胸を打たれるものがありました。
「RIDDLE」がマッチポイントを迎え、「FENNEL」が窮地に追い込まれたときも、ファンは最後の最後まで選手たちを信じ、「FENNEL勝てるよ!」「頑張れ!」「まだ終わってない!」と、全力で声援を送り続けていました。
「FENNEL」がSplit 1で優勝したのち、Split 2で優勝を逃すのは、昨年に続いて2回目。今年3月には、名古屋で開催されたSplit 1のオフラインで2日間、両日ともにフルマップ、計256ラウンドもの激闘をくり広げた末に、優勝を手にしています。優勝したのがSplit 1かSplit 2かというだけで、その価値が大きく変わってしまうことに対しては、やりきれない思いを抱かざるを得ません。
ただ、1マップ目から思わぬトラブルが発生したにも関わらず、気持ちを切り替え、逆転優勝にまで持っていった「RIDDLE」の実力とメンタルは、確かなものだといえるでしょう。Split 2で優勝した「RIDDLE」に託されたのは、9月に東京にて開催される「VCT Ascension Pacific Tokyo」での優勝。日本のファンが見守るなかでの活躍に、大きな期待が寄せられます。
■関連リンク
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「RIDDLE」チーム公式X:https://x.com/RIDDLEORDER
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