2024年11月14日、ドイツ・ベルリンにて開催されている「VALORANT Game Changers Championship」にて、「ZETA DIVISION GC」(以下、ZETA GC)と「MIBR GC」(ブラジル)の試合が行われました。
「ZETA GC」は国内大会「Game Changers Japan Split 2」で優勝し、アジア太平洋地域大会「Game Changers Pacific」に出場。準優勝を収め、上位2チームに与えられる世界大会「Game Changers Championship」への出場権を獲得しました。
「Game Changers Championship」には、各地域の大会を勝ち抜いた10チームが出場。Bo3(ロワーブラケット決勝とグランドファイナルのみBo5)のダブルエリミネーション形式で行われています。
ここまで「ZETA GC」は、初戦の「KRÜ Blaze」(ラテンアメリカ)に0-2で敗れ、ロワーブラケットに移りましたが、その後「FlyQuest RED」(NA)に2-1、「Falcons Vega」(EMEA)に2-0で勝利し、ロワーブラケットを勝ち進んでいました。この日行われた「MIBR GC」との対戦は、お互いに負ければ大会敗退、勝てばベスト4入りとなる試合です。
この試合で「ZETA GC」は、マップカウント0-2で敗北。ベスト6で今大会での挑戦を終えることになりました。記事では、試合直後に行われたプレスカンファレンスに登壇した、「ZETA GC」の選手とコーチへのインタビューの内容をお届けします。
■Day6試合結果
ZETA GC [0-2] MIBR GC
マップ1:0-13(アセント)
マップ2:3-13(サンセット)
試合を終えた「ZETA GC」選手&コーチインタビュー
――SereNa選手は今回が初めての世界大会出場だったと思いますが、とても楽しくプレイされている印象でした。今回の世界大会で学んだこと、良かったことを教えてください。
SereNa:世界大会は初めてだったのですごく心配で、自分のテンションを出せるかなと思っていたんですが、みんなが緊張しないでテンションを出していて、自分も「この雰囲気だったらいける」と感じました。負けたくなかったから、楽しくプレイしようと思って、それができたと思います。
――アセントは「ZETA GC」の得意マップだと思いますが、そこでの敗因は何だったでしょうか。また、その負けがメンタル的に2マップ目に影響した部分はありましたか?
ryota-:1マップ目は、自分たちの思うようなエリアコントロールや情報整理ができず、相手が上手のままゲームが進んでいってしまいました。メンタルに関しては、表現が正しいかわからないですが、むしろすっきりするくらいのやられ方だったので、2マップ目に向けてメンタルブレイクしたということはありませんでした。終始相手のリズムで進んでいって、自分たちが押し返すことができなかったことが敗因だったと思います。
――今回の試合は、「ZETA GC」と「MIBR GC」のどちらが勝ってもおかしくないといった前評判でした。結果的には負けてしまいましたが、「MIBR GC」のパフォーマンスで想定外だった要素があれば教えてください。
ryota-:デュエリストの選手が想像の3倍くらい強かったですね。そこにいかれました。
――suzu選手はGame Changersの大会ができる前から、選手として挑戦されてきました。Game Changersができて3年が経ちますが、今こうして世界大会でベスト6まで来れたことを振り返ってどのように感じますか?
suzu:いろんなハプニングや幸運に恵まれたり、いろいろなことがあったなかで、3年目でやっとここまで来れて本当に嬉しいです。「ZETA」で世界に来て戦うことが夢だったので、今は嬉しさでいっぱいです。
――Game Changersを取り巻く環境や注目度の変化について、この3年で感じることがあれば教えてください。
suzu:注目度については、やっぱり世界大会まで行けると、日本チームに注目してくれる海外の方が増えると感じます。日本国内でも、世界大会まで行ったら、やっとちゃんと認めてもらえるような気がしています。
――今シーズンの大会を通して、個人としてどのような成長がありましたか。また、チームとしてこの世界大会での経験を、どのように次のシーズンに生かしていきたいと考えていますか?
SereNa:自分的にはメンタルも弱いし、プレイにはすごく不安がありました。でも、フィードバックをもらって修正して、そこからさらに成長して、Championshipでフィジカルやメンタルの強さを見せられたことが、すごく嬉しいです。
Moco:初めて世界大会に来て、いろんな人と撃ち合ったり戦ったりして、「うちらはまだ戦えるんだぞ」というのが身にしみてわかりました。まだ弱みもありますが、そこを修正したら来年もっといいところに行けるんじゃないかなと、自分のなかで『VALORANT』のモチベーションがすごく上がりました。
aco:Pacificから世界大会まで、個人的な課題として相手の勢いやリズムに飲まれてしまって、撃ち合いに集中できなかったり、自分の考え、IGLやコールに自信がなくなってしまったりした期間がありました。
そこから、世界で戦うために考えて修正してきたつもりでしたが、今回の「MIBR GC」戦では、そこがまだ少し改善しきれていなかったというか。自分的にはあまり上手くいかなかった部分が結構あって、そこが悔しい部分でした。新たに課題が見つかったので、そこをまた修正していければと思っています。
UR:正直に言えば、自分でもPacificを2位通過できたり、Championshipで2勝できたりするとは思っていなくて、すごく嬉しかったです。それでも、まだ直すべきところはたくさんあるので、来年までに修正していきたいと思います。
suzu:Pacificから世界大会まで、やっぱり上に行けば行くほど、いろんな大きな壁が出てきて、でもそれを乗り越えて、壁を壊してくることができました。次は今日生まれた壁を壊して、来年世界に来られることを目標に頑張っていきたいと思います。
ryota-:去年はEast Asiaで惜しくも2位になり、世界大会に出られませんでしたが、今年はPacificで同じように2位だったんですけど、世界大会に来ることができました。その間、選手を変えたり新たなことをいろいろ試しながら、そのなかで自分たちのチームに何が合っているのかといった収穫がとてもあって、いい1年でした。
今回の世界大会ではベスト6という結果で、日本チームも世界で戦えることを少しは証明できたのではないかと思います。来年は、それこそ日本から世界大会に2チーム出たりして、良い結果が出せれば、今年の結果からさらに世界の壁を乗り越えられると思います。
国内外で多くのファンの心をつかんだ「ZETA GC」の活躍
残念ながら大会敗退が決まった「ZETA GC」ですが、日本チームとしては「Game Changers Championship」において初の勝利を獲得。さらに、もう1つの勝利を重ね、ベスト6にまで進む快挙を達成しました。
この大会では、「ZETA GC」の試合内容や結果はもちろんのこと、選手たち自身が思い切り大会を楽しんでいる姿が印象的でした。エージェントの髪型やポーズで登場した入場パフォーマンスに始まり、試合中のVCやリアクションなど、ゲーム内のプレイに限らないさまざまな要素で観る人の心をつかんだと言えます。
試合を重ねるごとに、海外からも「ZETA GC」に対する注目が高まっていることがうかがえ、実際にこの日の試合でも、苦境に立たされた「ZETA GC」がラウンドを取得するたび、観客席からはとても大きな歓声が送られていました。
一方、今大会ではトランスジェンダーの選手の起用に対する議論が加熱し、この日から日本配信のコメント欄はYouTubeではオフに、Twitchではスタンプのみに設定される事態になりました。
Riot Gamesは、Game Changersの方針に関する発表において、「ゲーミングには従来のスポーツと異なり体格差という障壁がない」という前提を述べています。しかしながら、トランスジェンダーの選手がチームを牽引する存在になっていることが、スタッツなどから見ても明らかな部分があり、競技の公平性という観点では疑問が残る状況です。
eスポーツにおける性差については、まだ明確になっているとは言えませんが、シビアな反応速度が求められるFPSゲームのトッププロシーンともなれば、性差が表れる可能性も考えられるでしょう。
さまざまな要素が絡んだ難しい問題であることは間違いありませんが、Game Changersが今後より選手たちの努力が正当に報われる公平な大会になること、そしてファンが心置きなく応援できる大会になることを願っています。
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