
『ストリートファイター6(スト6)』がリリースされてから2年が経過し、3年目に突入しました。プレイヤー人口は伸びており、注目度も益々高まっています。NintendoSwitch2版も発売され、さらに新規プレイヤーの参入も見込めます。
そこで、初中級者に向けて、『スト6』について解説します。
おそらく、攻略サイトや攻略動画などで、初中級者向けの解説はこすられまくっていると思われますが、より言語化して理解度を高める記事にしていきます。
『スト6』に触れており、チュートリアルは済んでいる状態で、とりあえず対戦することはできると言うことを前提に解説していきます。基本的な技や対戦時の考え方などを解説していくので、全キャラ共通の話になりますが、基本的にはルークを使った解説になります。もちろん、キャラクターが持つ固有技の解説をする場合は、その技を持ったキャラクターを使用します。
なぜジャンプ攻撃を知っていると良いのか
第1回となる今回は、ジャンプ攻撃について話をしたいと思います。
『スト6』には強い攻撃、弱い攻撃というのものがあります。単純に攻撃力の強弱ではなく、相手が返しにくい、攻撃が通りやすいなど、戦いを有利に運べる技のことです。
一般的に強い技と言われているのは、「突進技・無敵技・飛び道具・コマンド投げ・中段技・下段技」などです。さらにガードさせた時に攻撃を仕掛けた方が速く動ける「ガードさせて有利な技」というのも強い技のひとつです。これらの技が強いと言われるのには理由があります。
突進技は一気に間合いを詰められて攻撃を仕掛けてくるうえに、反撃するタイミングは相手の攻撃が当たる瞬間となります。相手は気軽に出せますが、返すのにはひと苦労です。
E.本田の”スーパー頭突き”やベガの”ダブルニープレス”などがそれにあたり、対処の難しさは体感しているかと思います。強さ故にこの技だけを連発してくる人もいます。
無敵技は技がかち合った時に一方的に勝てる技で、飛び道具は相手の間合い外から一方的に攻撃できる技。コマンド投げは通常投げと違い、投げ抜けが不可能かつジャンプやバックダッシュでないと避けられない投げ技です。中段技は立ちガードをしなくてはならない技。そして下段技はしゃがみガードしなくてはならない技と、それぞれ対処するのに条件が必要となります。
つまり専用の対処法が必要で、咄嗟にその対処法を出すのが難しい為、相手が返しにくく攻撃が通りやすい強い技と認定されるわけです。
ジャンプ攻撃の恩恵を学ぼう
さて、今回のテーマであるジャンプ攻撃ですが、これの強さを再確認していくところから始めましょう。ジャンプ攻撃は中段技扱いとなるので、立ちガードしなくてはなりません。反撃するにしても、地上技は基本的にどの技も出すだけで近づかれないようにする牽制技として機能しますが、ジャンプ攻撃に対しては対空技以外の技は空中にいる相手に当たらず牽制になりません。

さらにジャンプの軌道は基本的に決まっており、前ジャンプをすれば勝手に間合いを詰めて攻撃をしかけてくれるので、ある意味「突進技」としても捉えられます。従って、反撃するタイミングは相手が攻撃をしかけてくる瞬間。早すぎても、遅すぎても迎撃に失敗してしまいます。



リスクを避け、ガードをした場合はどうでしょうか。
相手は攻撃後の着地で着地硬直というのが発生します。どのキャラクターも一律で3フレームです。こう書くとガード側が3フレーム有利になると思われますが、相手のジャンプ攻撃をガードすると「ガード硬直」が発生してしまうので、相手の着地硬直と相殺されてしまうか、不利になってしまうことがほとんどです。
つまり、ジャンプ攻撃はガードさせて有利を取れる技でもあります。さらに、ジャンプ攻撃自体の硬直は着地と同時に消滅し、着地硬直のみの発生になります。つまり、本来では隙が大きい強攻撃を使っても、着地硬直の3フレームしか硬直しなくなります。なので、着地後はガードした相手に地上技で重ねていくことも可能になります。ちなみにジャンプだけして着地すると着地硬直6フレームになります。



ジャンプ攻撃が当たった場合にも恩恵があります。
着地硬直が短いため、相手のヒット硬直が解除される前に動くことができます。この硬直差は地上技を当てた時より大きいので、発生が飛び抜けて遅い技でない限り大抵の技が当たります。
初心者が最初に練習するジャンプ攻撃のコンボとしては、ジャンプ強キック→しゃがみ強キックというのがあります。しゃがみ強キックの発生はキャラクターによって違いますが9~12フレームです。これもジャンプ強キックのヒット硬直が長めで、ジャンプ攻撃の硬直が短い為に起こる現象です。通常技のみで9フレーム以上のヒット硬直を発生する技が存在しないので、強キックを連続で当てることの特別性が分かると思います。強キックが連続で当たるうえ、相手をダウンさせることができます。つまり、ジャンプ攻撃は大ダメージコンボの始動技としても優秀なのです。




攻撃持続の長さも使いやすさのひとつです。
ルークの地上技でもっとも攻撃持続が長いのが立ち強キックの7フレームですが、それ以外は2~4フレーム程度です。ジャンプ攻撃は弱パンチの9フレームを筆頭に、ほとんどの技が5~6フレームあります。
つまり、ジャンプで間合いを自動で詰めてくれるうえに、多少早めに攻撃ボタンを押したとしても攻撃を持続しながら移動してくれるので、空振ることはほとんどありません。
もちろん、ジャンプと同時にボタンを押してしまうと空振ってしまうことはありますが、ジャンプの頂点以降であれば大抵相手に当てることはできます。


ジャンプ攻撃のみが持つ特異性としては、めくり攻撃もあります。
どのキャラクターにもひとつかふたつ、めくり性能のあるジャンプ攻撃があります。相手を飛び越えるようにジャンプし、飛び越えた後にめくり攻撃を出すと、相手は反対側にガードをしないとガードできない状態になります。飛び越えるか飛び越えないかのギリギリの間合いで出されるとどちらにガードして良いかわからなくなります。
また、対空技で迎撃する場合は必殺技を使う場合、コマンド入力をしっかりと逆側(1P側にいたら2P側に居る時のコマンド)に入れなくてはならず、迎撃の難易度が格段にアップします。『スト6』は通常とめくりの両対応の対空技がほとんどなく、これまでのシリーズの中でもめくり攻撃への対処が難しくなっているので、めくり攻撃もこれまで以上に有効な攻撃手段となっています。

使うタイミングを見極めることで上達!
初心者はジャンプばかりして、「バッタ」と揶揄されますが、それでも多くの人が使ってしまうのは、おそらく直感的にジャンプ攻撃が強いことがわかるからだと思います。実際にジャンプ攻撃は強い技であるので間違っていませんが、どうして強いのかを理解することで、使う意味や使う頻度も変わってきます。

(c)CAPCOM

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。イベント取材を始め、法律問題、eスポーツマーケットなど、様々な切り口でeスポーツを取り上げる。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『ゲーム業界のしくみと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社刊)。@digiyas